目を逸らしていたもの

「!これって確かこの前の騒動で戦兎さん達が戦ったロボット……」

『名前はアルゲンマギア。ソロモンが制作した戦闘特化型ヒューマギア、パジェントが今、映し出しているアルゲンゼツメライズキーに保存されている『アルゲンタヴィス』という大型鳥類のロストモデルの“力”をこの『ゼツメライザー』で引き出し、その身に宿して変身した姿だ。』

新たに空間モニターに映し出されたアルゲンマギアを見ながらそう言う月音に対し、スカリエッティは腰に装着しているゼツメライザーの部分を拡大しながら続けてそう説明する。

「……ヒューマギアというのはロボットの通称ですか?」

『あぁ、こちらも元々は飛電インテリジェンスで一般のサポート目的で開発されたものだったんだが、どうやらソロモンが独自にデータを手に入れて開発したらしい。』

「なるほど……このゼツメライズキー、一見ドーパントメモリみたいですが、仮面ライダーの変身にも使えるんですね……」

『まぁ、そうだね……』

ヴゥンッ!!

ゼツメライズキーについて、そう言う月音にスカリエッティはそう言いながら新たな空間モニターを展開する。

それには青い銃のようなデバイスと赤い短剣のようなデバイスが映し出されている。

『銃は『エイムズショットライザー』、短剣は『ザイアスラッシュライザー』といってどちらもプログライズキー若しくはゼツメライズキーの“力”を引き出し、仮面ライダーへの変身を可能にするアイテムだ。因みにこれらは『ZAIAエンタープライズ』という企業が製造元だね。』

「?プログライズキーやゼツメライズキーを開発した企業とは違うんですか?」

ショットライザーとスラッシュライザーについて、そう説明するスカリエッティに対し、月音は首を傾げながらそう尋ねる。

『まぁ、そうだね。そこら辺の詳しい事情は残念ながら、こちらも把握しきれてないから何とも言えないが……このショットライザーとスラッシュライザーのデータを組み合わせ、デスガンに合わせて開発されたのがこの『ソロモンクラッシュライザー』だ。』

ヴゥンッ!!

対するスカリエッティはそう言いながら、改めてクラッシュライザーが映し出された空間モニターを展開する。

「なるほど……ダークスカルソードガンと違ってモードチェンジとか必要ない感じなんですね。」

『あぁ、故にエストックの刀身による刺突からの至近距離での銃撃へのスムーズな攻撃の切り替えが可能だ。』

空間モニターに映ったソロモンクラッシュライザーとダークスカルソードガンの違いについて、そう言う月音に対し、スカリエッティは冷静にそう説明する。

『因みにこのサマエルは『イーヴィルスネークゼツメライズキー』の“力”で蛇の如く、俊敏で強靭な筋力を持っている。』

「なるほど……」

『それとサマエルは先日に話した『毒』の生成能力を持ち、イーヴィルスネークゼツメライズキーを使用することでその『毒』やそれを変換した破壊エネルギーを纏わせた必殺技を発動させることができる。』

ヴゥンッ!!

スカリエッティはそう言いながら、今度は“マレフィックスプラッシュ”を発動させるサマエルや“マレフィックスプラッシュアウト”を叩き込むサマエルの姿が映し出された空間モニターを展開する。

「……威力が高そうですね……」

『そうだね……っと少し休憩を挟もう。その子も落ちそうだし……』

「あっ……」

「………」

スカリエッティに指摘された先を見ると、月音の腕の中でいつの間にかおやつを食べ終えていたりゅーきがうつらうつらとしている。

「ふむ。月音も疲れているだろうし、スカリエッティさんの言う通りに休憩を挟もう。ついでにコーヒーも淹れるが、リクエストはあるか?」

「あー……と、すいません…コーヒーはちょっと…」

「そうか……バナナミルクとかならどうだ?手作りだが……」

「それなら……」

「わかった。じゃあ、作るからちょっと待っててくれ。」

シャトラはそう言いながら厨房の奥へと消えていった。
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