目を逸らしていたもの

「一応この世界のある意味オリジナルのライダー以外にも、『Xマジンラー』に所属しているライダーは他にもいる……」

ヴゥンッ!!

そんななか、シャトラはそう言いながら今度は悠姫と、彼女が変身するダークジュエルドライバー版フィフティーンの画像を展開する。

(今度はフィフティーン……また、厄介なライダーが出てきたな……隣の画像の女の子は変身者かな?って……)

「ん?」

フィフティーンと悠姫の画像について、そう思っているなか、月音は腰に装着しているダークジュエルドライバーと装填されているレプリカライダージュエルの存在に気付く。

「……戦極ドライバーじゃ……ない?それに中央に嵌め込んでいるのは宝石?」

「見た目も能力も確かにフィフティーンなのだが、変身方法が通常のものと違う……
これは『Xマジンラー』のメンバーで前世では御劔燐の血縁者だった転生者、緋之宮悠姫がフィフティーンの“力”が込められたレプリカライダージュエルとダークジュエルドライバーを使って変身した姿なんだ……」

「レプリカライダージュエルとダークジュエルドライバー?」

「元々は別次元に存在する組織の技術だったのを『Xマジンラー』が盗んで開発したものだ。

レプリカライダージュエルには『Xマジンラー』が保有するデータから再現されたライダーや怪人の“力”が込められていて、ダークジュエルドライバーはその“力”を引き出し装着者をライダーや怪人に変身させることができる。」

「なるほど……ディケイドみたいなものか……」

「このレプリカライダージュエルとダークジュエルドライバーの利点は変身者を選ばないこと……」

「それってつまり誰でも変身できるってことですか?」

「そうだ。ジュエルとドライバーさえ揃えば、誰でもライダーにも怪人にも変身できてしまう……」

「ッ……」

シャトラからの説明を聞いた後、月音は改めて画面に映っているレプリカライダージュエルとダークジュエルドライバーを見る。

(誰でも変身できてしまうということは誰でも安易に危険な“力”に手を出しやすいということ……
これが一般に出回ったらまた面倒なことになりそうだ……っ!!)

「もっとも、変身した後の“力”は変身者自身の力量に比例するから、完全に“力”を引き出して使いこなせる訳ではないんだ……
『Xマジンラー』はそれをわかってるからか、レプリカライダージュエルとダークジュエルドライバーを一般に流通させていない……」

「なるほど……」

(ならライドプレイヤーや黒影トルーパーみたいに、一般人も敵かどうかも警戒しなくても良いのは助かるが……厄介なことには変わりないか……)

「そんなフィフティーンの“力”を使いこなせるのが彼女だ。私は直接戦ったことがないのだが彼女は瞬間完全学習能力と高い感応波、そして高い戦闘センスを持つ私の姉と互角に渡り合える程の実力者だ。」

「?瞬間完全学習能力?感応波?」

「瞬間完全学習能力は一目見ただけで習得する上に耐性や応用までできるようになる能力だ。
そして、感応波は人の持つ脳波の一種で『サイコミュ』という脳波コントロールで操作する無線兵器を扱える他、外に発することで相手に直接プレッシャーを与えることもできる。」

「ぽへぇ~……」

「…だ、大丈夫か?」

またしても(´◎-◎`)な表情を浮かべる月音にシャトラはそう尋ねる。

カァァァ…シュタッ!

「?」

そんななか、月音の頭上に出現した小さな銀のオーロラから飛び乗ってきたりゅーきが『大丈夫?』と言いたげに月音の顔を覗き込む。

「………」

対する月音はすぐさまりゅーきを抱き抱えながらおやつを与える。

「♪」

「………」

(慣れている……)

「?」コテン

与えられたおやつを何事もなく食べ始めるのを見てシャトラがそう思っているなか、りゅーきはこてんと首を傾げる。

(可愛い……)

「ごほん……すいません、話の続きをどうぞ。」

「あぁ、そうだな…彼女が変身するフィフティーンだが、ライダージュエルを用いたシステムだからかオリジナルとは違った特徴も持っている。」

「と言いますと?」

「?」

「鎧武以降のライダーのアームズも装着できるようだ。少なくともこれまでの間に三人のライダーのアームズを確認している。」

首を傾げる月音とりゅーきに対し、シャトラはそう説明しながらドライブ、ゴースト、エグゼイドのアームズを装着してみせたフィフティーン悠姫の画像を展開する。

「……」モグモグ

「……これ、フィフティーン15じゃなくてエイティーン18じゃん……」

「まぁ、そうだな……」

その画像を見ながら怪訝な表情でそう言う月音に対し、シャトラは苦笑いしながらそう言った。
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