目を逸らしていたもの

「……落ち着いたか?」

「はい……突然、すいません……」

数分後、落ち着くことができた月音は再び正面に座ったシャトラに頭を下げながらそう謝罪する。

「いや。別に良いんだ。ところで、先程の『データにはない』というのはどういう意味なんだ?」

「………Xショッカーは仮面ライダーの中でも特に平成の仮面ライダーのデータを集めていたんです…
昭和の仮面ライダー達よりも更に人数が多く、手間がかかるものの多様なギミックやアイテム、能力を持つ者を先に倒すために……
列車で時を駆ける者やオーロラで世界を渡る者もいるから……」

「なるほど……つまり、君にはそのXショッカーが集めた仮面ライダー達のデータを持っていて、そのデータの中にはこのベスティアの参考になりそうなデータがない……という認識で良いのかな?」

「はい……同時にXショッカーが集めたデータ等は既に消去してまして……何かあった時、何者かに利用されないように…」

「なるほど……」

(つまり、少なくともXショッカーが集めたデータはソロモンや『Xマジンラー』に利用されることはないということか……)

「ですが……」

「ん?」

「私がある程度、覚えているのと同じようにXショッカーも覚えていると思います。
集めていたのはあちらですし、それに私の知らない“力”……
サーヴァントの“力”等をデェムシュ進化体やヴァルゴゾディアーツが持っていたことを考えるなら、データそのものがなくてもデータが渡っていない可能性はないと言って良いでしょう……」

「……そうか……」

(そう考えると現状、戦局としては『Xマジンラー』……
いや、今回はソロモンに大分傾いているとみた方が良さそうだな……)

が、続けて気まずそうにしながらそう説明する月音の言葉に、シャトラは苦い表情をしながらそう考察する。

「あの……」

「ッ……すまない。話を戻そう……」

そんななか、戸惑いながらそう言う月音の言葉にシャトラは頭を振りながらそう言う。

「はぁ……」

「燐が変身するベスティアに関しては残念ながら情報があまりなくてな……
なので後、説明するなら転生者である燐自身の能力くらいなんだが………」

「確か強力な人工キメラを生み出すことができる能力……でしたよね?」

「そうだ。正確には

二つ以上のものを混ぜ合わせる『融合』…

考えた“力”を付け加える『付加』

の二つの“力”を持っている。」

「融合と付加……」

「その能力を上手く駆使して燐は強力な人工キメラを生み出し、自身もドラゴンや白いサナギ体ワーム等を能力で取り込んでキメラと化している……」

「!?白いサナギ体ワームをっ!?」

「これは『Xマジンラー』の元構成員で当時は奴のお目付け役をしていた者から聞いた情報だから間違いない。」

白いサナギ体ワームも取り込まれているということにそう困惑の声を上げる月音に対し、シャトラは冷静にそう説明する。

「ッ……」

(データにないライダーのこともそうだけど、この御劔燐って奴自身も警戒した方が良さそうだな……)

対する月音は険しい表情を浮かべながらそう思った。
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