目を逸らしていたもの

「!?」

「まずはこの人間程の大きさ青いカプセルのような機械兵器が先程、話したガジェット……正式名称、『ガジェットドローンⅠ型』。これは古代ベルカの時代で編み出された技術を大元として製造されたもので私達、魔導士が扱う魔法そのものを無力化する特殊フィールド、『AMFアンチマギリングフィールド』を発生させることができる上、正面にあるレンズから発射される熱光線とアームケーブルと呼ばれる機械の触手を武器としていて、複数で地上を浮遊移動している。」

空間モニターに映し出されたガジェットⅠ型とキラーケルベロス、ファルファレロを見て月音が固まるなか、シャトラはガジェットについて、説明を始める。

「Ⅰ型ということは他にも種類があるんですか?」

「あぁ、機動性に優れた航空型のⅡ型。巨大なベルト状のロボットアームで接近戦にも対応でき巨大な球体状の装甲で防御性にも優れた大型のⅢ型。汎用性が高く白兵戦に特化した人型のⅣ型が確認されている。」

ヴゥンッ!!

首を傾げながらそう尋ねる月音に対し、シャトラは空間モニターでⅡ型とⅢ型、Ⅳ型の画像を見せながらそう説明する。

「ッ……」

「続いてこれはファルファレルロ。私の義理の姉、梨紗・アトレーの故郷の方の『地球』にかつて存在していた製薬会社『アンブレラ』が裏から『Xマジンラー』からの支援を受けて開発したTウイルスというウイルスを用いて製造したBOWと呼ばれる生物兵器の一種で表皮の色を変えて姿を消す擬態能力を持っている。」

その説明に息を呑む月音に対し、シャトラは続いてファルファレルロの説明を始める。

「!?Tウイルスというのは?」

そんなシャトラに対し、月音は動揺しながらそう尋ねる。

「Tウイルスというのは『Xマジンラー』から提供された『『始祖花』と呼ばれる花に付着していた特殊なウイルス』に関するデータと資金を元にアンブレラが研究開発したウイルスで感染した生物の代謝を促進し死んだ細胞すら強引に動かす程の強大な生命力と胸等の急所に何発も銃弾を撃ち込まれても死なない耐久力を与えることができる……」

「え~と……」

「……早い話が人間をゾンビに変えてしまうウイルスだ……敵地に放てば、あっという間にバイオハザードを引き起こせる程のな……」

「!?」

「他にもこのウイルスは感染した生物によっては異常な巨大化や肉体の一部に異常な発達を引き起こすこともあり、異種間での遺伝子交配の成功率を上げる性質もある……その性質を利用して生み出されたのがこの人間をベースに蜥蜴とかげ等の爬虫類の遺伝子を組み込まれたハンター……それがファルファレルロだ……」

説明を聞いて驚愕しながらも食い入るようにモニターに映るファルファレルロを観る月音に対し、シャトラは更にそう説明する。

「ッ……」

(次元は違えど、考えることは一緒ということか……)

そんなシャトラの説明に月音はそう思いながら、握り拳を作りながら震える。

「続いて、こちらは人工キメラ。これは『錬金術』と呼ばれる魔術や転生者の能力によって生み出される合成生物だ……」

そんな月音に対し、シャトラは続いてキラーケルベロスが映し出されている空間モニターを展開しながらそう説明を始める。

「合成生物……」

(錬金術っていうのはオーズのとは違うのかな……)

「転生者っていうのは昨日、クロハラのお義母さん……彩夏さんが話していた『別世界から渡ってきた人』…でしたっけ?」

「あぁ、彩夏姉さんも話していたが仮面ライダーやウルトラマンが娯楽番組として放映していた世界から勇者召喚や使い魔召喚、トリップ等で元の姿のまま渡るパターンや一度死亡してから前世の記憶を保持した状態で転生…生まれ変わるパターンと色々と種類はあるがそうして別世界から渡ってきた者達は『転生者』と呼ばれ、大抵は何らかの能力を得ている者が多いんだ。」

『転生者』についてそう尋ねる月音に対し、シャトラは改めてそう説明した。
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