目を逸らしていたもの

ガチャッ!!

「くっ……」

ボスッ!!

教会で用意された元は客人用の部屋に入った直後、彩夏はこれまでの疲労からか備え付けのベッドにうつ伏せの体制で倒れ込む。

(ッ……残り人数は後十数人……絶対に助けないと……っ!!)

「ハロハロ。アヤカ、ダイジョウブカ?」

倒れ込んだ後、そう考える彩夏に対し、先にベッドの上にいた、村に来た最初の日から持ち込んでいたハロが近寄りながらそう話しかけてくる。

「うん…大丈夫……ハロ、一時間くらいしたら起こして……」

「ハロハロ。リョウカイ。」

そう返事を返すハロの言葉を耳にしながら、彩夏は程なく意識を手放した……




三時間後・・・

「うぅっ!?……ふぅ………」

「……よし……薬が無事に効いたみたいです……」

「貴方!!」

それから一時間の仮眠を取って体力と気力を回復させ、残りの患者達の治療を再開してから二時間後、彩夏がそう言った直後、防護服を着た、先程抗ウイルス薬を投与された男性の妻がそう言いながらベッドに駆け寄る。

(これで残るは八人……)

バンッ!!

「大変です!『紅き閃光者』様!!」

そんな夫婦の様子を見ながら彩夏がそう思っているなか、防護服を着た一人の騎士がそう言いながら部屋の中に駆け込んでくる。

「!?ど、どうしましたか?」

「ジィール商会会長夫人の容態がっ!!」

「!?」
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