目を逸らしていたもの
三日後、マリーの寝室・・・
「うっ……うぅ……っ!?」
「マリー……っ!!」
「マリーさん、今から薬を打つけど……覚悟は良い?」
左腕が完全に土色に変色し苦しむマリーに対し、彩夏は三日かけて作り上げた抗ウイルス薬が入った注射器を手にしながらそう尋ねる。
「『紅き閃光者』様……はい。お願いします……」
マリーからの了承を得た彩夏はマリーの左腕の傷痕に注射器を打ち、抗ウイルス薬を投与する。
「うっ!?……うぅ……っ!!?」
「マリー!!」
「ッ!!」
次の瞬間、苦悶の表情を浮かべるマリーの姿を見て、村長はすぐさま駆け寄ろうとする。
が、制止するように右腕を横に突き出した彩夏によって止められてしまう。
シュウウウ……
そんななか、左腕から少しだけ蒸気を上げながら、打たれた傷痕付近を中心に変色していた肌の色が元に戻っていく。
「!?肌の色が……っ!!」
「……ふぅ……」
肌の色が戻っていくのを見て、村長が目を見張りながらそう言うなか、安定してきたのか、マリーの呼吸も落ち着いていく。
「すぅ……すぅ……」
次の瞬間、抗ウイルス薬の作用で体力を消耗したのか、マリーは穏やかな寝息を立てながら眠りに就く。
「薬が無事に完成した……ということでしょうか?」
「症状が消えて呼吸も安定してますが、まだ予断は許されません。一晩様子を診ましょう。」
「は、はい……」
マリーが眠りに就いたのを確認中した後、真剣な表情でそう言う彩夏の言葉に村長は不安そうにしながらそう言う。
「……大丈夫です。村長……」
「『紅き閃光者』様……」
「少なくとも、ヤマは越えた筈です……」
「ッ!?はい……ありがとうございます………ッ!!」
優しい笑顔でそう言う彩夏に対し、村長は深々と頭を下げながらそう言う。
「いえいえ……今日はもう遅いですし、村長も休んでください。回復した後に村長が倒れられてはマリーさんや村の人達が悲しみます……」
「『紅き閃光者』様……」
彩夏が指摘した通り、外はすっかり暗くなり、村長自身もここ最近は眠れていなかったのか、彩夏が村にきた時よりも目の下の隈 が酷かった。
「……お気遣いありがとうございます。『紅き閃光者』様……マリー。また明日、様子を見にくるからな……」
村長は今一度深々と頭を下げながらそう言った後、寝室を後にする。
「……大丈夫……何度もフェイ君と協力して分析したんだ……だから、大丈夫……大丈夫………」
残された彩夏は穏やかな眠りに就いているマリーには聞こえないように、自分に言い聞かせるように何度もそう呟いた。
「うっ……うぅ……っ!?」
「マリー……っ!!」
「マリーさん、今から薬を打つけど……覚悟は良い?」
左腕が完全に土色に変色し苦しむマリーに対し、彩夏は三日かけて作り上げた抗ウイルス薬が入った注射器を手にしながらそう尋ねる。
「『紅き閃光者』様……はい。お願いします……」
マリーからの了承を得た彩夏はマリーの左腕の傷痕に注射器を打ち、抗ウイルス薬を投与する。
「うっ!?……うぅ……っ!!?」
「マリー!!」
「ッ!!」
次の瞬間、苦悶の表情を浮かべるマリーの姿を見て、村長はすぐさま駆け寄ろうとする。
が、制止するように右腕を横に突き出した彩夏によって止められてしまう。
シュウウウ……
そんななか、左腕から少しだけ蒸気を上げながら、打たれた傷痕付近を中心に変色していた肌の色が元に戻っていく。
「!?肌の色が……っ!!」
「……ふぅ……」
肌の色が戻っていくのを見て、村長が目を見張りながらそう言うなか、安定してきたのか、マリーの呼吸も落ち着いていく。
「すぅ……すぅ……」
次の瞬間、抗ウイルス薬の作用で体力を消耗したのか、マリーは穏やかな寝息を立てながら眠りに就く。
「薬が無事に完成した……ということでしょうか?」
「症状が消えて呼吸も安定してますが、まだ予断は許されません。一晩様子を診ましょう。」
「は、はい……」
マリーが眠りに就いたのを確認中した後、真剣な表情でそう言う彩夏の言葉に村長は不安そうにしながらそう言う。
「……大丈夫です。村長……」
「『紅き閃光者』様……」
「少なくとも、ヤマは越えた筈です……」
「ッ!?はい……ありがとうございます………ッ!!」
優しい笑顔でそう言う彩夏に対し、村長は深々と頭を下げながらそう言う。
「いえいえ……今日はもう遅いですし、村長も休んでください。回復した後に村長が倒れられてはマリーさんや村の人達が悲しみます……」
「『紅き閃光者』様……」
彩夏が指摘した通り、外はすっかり暗くなり、村長自身もここ最近は眠れていなかったのか、彩夏が村にきた時よりも目の下の
「……お気遣いありがとうございます。『紅き閃光者』様……マリー。また明日、様子を見にくるからな……」
村長は今一度深々と頭を下げながらそう言った後、寝室を後にする。
「……大丈夫……何度もフェイ君と協力して分析したんだ……だから、大丈夫……大丈夫………」
残された彩夏は穏やかな眠りに就いているマリーには聞こえないように、自分に言い聞かせるように何度もそう呟いた。