目を逸らしていたもの

十数分後、彩夏の部屋・・・

「ッ……やっぱり、Tウイルスと似た性質を持つウイルスだったか……」

十数分後、村長宅で割り当てられた部屋にて、マリーの身体から許可を得て採取した血液と皮膚片のサンプルを分析した彩夏は険しい表情でそう言う。

(村長の話では感染者達は同じ感染者に噛まれたりしたり等の接触感染で感染しているとみて良いんだろうけど……本家のような空気感染はしていないのか……?)

「……とりあえず今は薬を作らないと……」

彩夏はそう言いながら予め持参した材料を使って抗ウイルス薬になり得そうな薬を調合し、血液と皮膚片から採取したウイルス組織に投薬してみる。

「!?変化が違う……っ!?」

が、想定していた変化とは違う変化が診られ、彩夏はそう困惑の声を上げる。

「最低でも一時的に活動が抑制される筈なのに……全くその傾向が診られないなんて……っ!?」

(従来のTウイルスとは違うってこと……っ!?)

「ッ……だったら材料の分量を少し変えてみるか……」

想定していた結果とは違う結果に一瞬戸惑いながらも、彩夏はそう言いながら調合に使用した材料の分量を調製し、幾つかの種類の試作の抗ウイルス薬を生成。

それらを順番に投薬して変化を確かめた。
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