食堂・・・

「なんか……暗いね……」

「うん……」

「まぁ、前日にあんなことがあったからな……」

清々しい朝食の場には似つかわしくない暗い雰囲気に響と未来、クリスの三人はそう話をする。

「………」

「あ！ノゾミちゃん！おはよう！！」

そんななか、なんとか落ち着き、着替えて来たノゾミに対し、響は笑顔でそう話しかける。

「！？おはよう……ございます……」

「体調はどう？ご飯、食べられそう？」

「はい……大丈夫……です……」

そんな響に戸惑いながらもそう挨拶を返した後、優しい笑顔でそう尋ねる未来に対し、ノゾミは暗い表情のままそう答える。

「まぁ、病は気からとも言うしな……とりあえず座れよ。」

「は、はい……」

クリスに勧められた後、ノゾミはそう言いながら席に着く。

「あれ？セッテは……？」

「セッテは居らへんよ。ちょいとお願いしたいことがあってな、朝早くから出発してもろうたんよ。」

席に着いた後、セッテがいないことに気付き辺りを見渡しながらそう言うノゾミに対し、はやてはそう説明する。

「いつもやったらフェイトちゃんや隊の子らに頼むんやけど………事情が重なって人手が欲しくなったんよ。」

「！？そう……ですか……」

続けてはやてが言った『事情』の『原因』には自分も含まれていることを悟ったのか、ノゾミは暗い表情のままそう言い大人しくなる。

「因みに、ノゾミちゃんにも後でお願いしたいことがあるんやけど……」

「！？」

そんななか、そう言うはやての言葉にノゾミは一瞬身体がビクつきながら不安げな表情を浮かべる。

「あぁ、心配せんでも別に戦ってほしい訳やない。ただ学園の現場検証を手伝ってもらいたいんや。」

「！？学園の現場検証……ですか……？」

「そうや。イタチ君やシャトラちゃん、ティアナとアインハルト、雪那ちゃんとクリスちゃんにもお願いするんやけど、やっぱり当事者も一人はいた方がええと思うてな。」

「そ、そうなんですか……」

「あ。因みに万が一の時は民間人の避難誘導をお願いしたいんやけど……どうかな？」

いつもとは変わりない、優しげな微笑みを向けながらはやてはそうノゾミに頼み込む。

「わ、わかり……ました……」

そんなはやての微笑みにノゾミは戸惑いながらもそう言って引き受ける。

「それじゃあ今日は皆、色々と忙しいやろうけど、ご飯はちゃんと食べような。しっかり食べへんと頭も身体も動かへんからなぁ。」

「あ。そうですね。私もお腹がペコペコの時は力も出ないし、頭も回りません！！」

「このオムレツとか絶品デェース！！」

「うん。ふわふわで……とろとろ……」

その後、はやてが笑顔でそう言うなか、響と切歌、調の三人が笑顔でそう言う。

「………」

そんな四人の笑顔を見た後、ノゾミは暗い雰囲気のまま目の前にある、メインであろう大きめのオムレツをスプーンで一掬いして食べる。

「！美味しい……」

(美味しいって感じたの……なんだか久しぶりな気がする………)

次の瞬間、ノゾミはそう思いながら思わず笑みが溢れる。

(良かった……一先ずは少し余裕ができたみたいやな。これからまた苦しいやろうけど、超えなきゃアカン試練や。頑張ってぇな、ノゾミちゃん………)

そんなノゾミを見て、はやては安堵しながら内心でそうエールを送る。

(さて、別件をお願いした彩夏さんとセッテは、上手くやってるやろうか………)