目を逸らしていたもの

「?……ここは……ッ!?」

気が付くとノゾミは何処かの『国だった』地にて目を覚ます。

辺りの建物は見るも無惨なまでに朽ち果て、瓦礫が散乱し、炎が至るところに燃え上がり、花処か草木の一つも残っておらず、『生きている人』の気配も全くない、『死』しか残っていない荒れ果てた地を見渡して、ノゾミは息を呑む。

(ここは『シャングリラ』の……ッ!?)

【……どう……して……】

「!?」

バガァンッ!!

「ひぃっ!?」

次の瞬間、ノゾミの足元の地面から血を流し、傷口から骨が見える人間の手が飛び出し、ノゾミの右足首を掴む。

ズズズ………ッ!!

【どうして助けてくれなかった!?】

【何故、私達の命を奪った!?】

【私達は貴女を信じたのに……っ!!】

次の瞬間、ノゾミの周りの地面から『Xマジンラー』のTウイルスに感染したゾンビとは違う、ぼろぼろの民族衣装や甲冑に身を包み、明らかに致死量の血を垂れ流し傷口から骨を覗かせる、老若男女の『生ける死者』達が飛び出し、ノゾミに怨恨の言葉を浴びせながら纏わりついてくる。

「あっ……あぁ……っ!?」

(この人達は……私が殺した……『シャングリラ』の……っ!!)

【何故、私達が死ななければならない!?私達は貴女にとって………










………『有益』なものじゃなかったのか?】
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