揺れるココロ

フェイトの心象世界・・・

「はあああぁぁぁーーーっ!!」

ズバァァァァァンッ!!

現在、スクラム状態になって眠り続けているフェイトの心象世界にてシンフォギア 天羽々斬アメノハバキリを纏った、彼女の半身である翼が迫りくる黒い影の大群を一閃して斬り伏せる。

ズズズ……ッ!!

が、直後に新たな黒い影の大群が現れ翼へ、否、翼の背後にあるものーーー大きな光の翼でできた繭へと向かっていく。

「………」

繭の中にはフェイトが眠るように包み込まれている。

「ッ……フェイトに手は出させん……ッ!!」

ズバァァァァァンッ!!

フェイトの光繭に手を伸ばそうとする黒い影達を、翼はそう言いながら天羽々斬で一刀両断する。

ズズズ……ッ!!

が、奥からまた新たな影達が現れる。

「くっ……無尽蔵に涌いて出てくる……!キリがないなっ!!」

ズバァァァァァンッ!!

翼はそう言いながら再び影達を一刀両断する。

ズズズ……ッ!!

が、そんな翼を嘲笑うかのようにまたしても新たな影達が何処からともなく現れる。

「くっ……やはりナノマシンとやらが発している力場をどうにかしないとダメか……」

再び現れた影達を見て、翼は苦い表情を浮かべながらそう言う。

今、翼の背後にある光の繭は自身の半身であるフェイトの魂体。

目の前から迫ってくる影の大群はサマエルデスガンがウイルスとナノマシンと共に注入した、ソロモンの『闇』。

魂体が影の手に堕ちれば、フェイトの『光』は『闇』へと塗り替えられ、ソロモンの『傀儡』と化す。

それを防ぐために、翼は剣を振るい、『闇』の侵食を防いでいた。

「さりとて、この刃が朽ちぬ限り、フェイトに手出し等させん!したくば、我が刃を打ち破ってみせよ。我が刃は、貴様ら全てを斬り捨ててみせようぞ!!」

翼は今一度、天羽々斬を力強く握り締めながら、そう言いながら己を奮い立たせる。

(私が最後の防衛ライン………だから頼むぞ、皆………フェイトを救ってくれ!!)

今も尚、現実世界でフェイトを救うために奔走している仲間達に想いを託しながら、翼は再びの大群に向かっていった。
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