揺れるココロ

「そんなことがあったのですね………」

「………」

「ノゾミ………」

ノゾミが自らの『罪』を告白した後、その場に重い空気が流れる。

(駄目ですね………かつて、似たようなことを言われていたことがある私達では、被害者側の気持ちになってしまう………ここは………)

「……セッテさん。ちょっと良いですか?」

「え?」

「すいません、ノゾミさん。私達はこれからちょっと用がありますので失礼致します。行きますよ、セッテさん。」

「え?あの……」

「セッテさん。」

「ッ………」

戸惑いを隠せないセッテに対し、ひなたは冷たい声音で黙らせる。

「……ノゾミ、卵粥……ちゃんと食べてね………」

「………」

そうしてひなたとセッテの二人は部屋を出ていった・・・





廊下・・・

「セッテさん、少しの間、ノゾミさんとの接触を控えてください。」

「!?どうして……っ!!?」

部屋を出た後、そう言ってくるひなたに対し、セッテは動揺を隠せずにそう尋ねる。

「貴女は優しい方です。ですが、その優しさ故に全てを受け入れてしまっています……それでは、駄目なんです……」

対するひなたは真剣な表情でそう言う。

「それは……ッ……」

「それにセッテさんもセッテさんです。」

「!?」

「前から気になっていましたが、貴女は生活だけでなく行動の全てをノゾミさんに依存してしまっています。」

動揺と困惑を隠せないセッテに対し、ひなたは更にそう指摘する。

「わ、私は……」

「……何か理由でもありそうですね?」

指摘を受け、更に動揺するセッテに対し、ひなたは鋭い視線で更にそう追及する。

「ッ……」

(ノゾミは自分が傷付くとわかった上で『罪』を告白した……だったら私も………)

「……私は……ノゾミから『大切な人』を奪ってしまったんです………」

対するセッテは絞り出すような声で、『ジニア動乱』の最中、事件の首謀者であるジニアが戦いのなかで入手したノゾミの血液をベースに20人の平成ライダーとブラッド族の遺伝子、溶源性アマゾン細胞を掛け合わせることで産み出された少女、『桜之宮千花』のこと、

ノゾミと千花が『姉妹』のように親しくなっていたこと、

千花が一度はジニア側に下り、アナザーポッピーに変貌したこと、

戦いのなかで千花がノゾミの説得に応じ、アナザーポッピーウォッチを渡そうとしたこと、

そのタイミングで自分が千花を狙撃し、ノゾミの目の前で命を奪ったことを告白した。
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