揺れるココロ
ノゾミの部屋・・・
「………」
(私……何やってんだろう……何のために戦ってたんだろう………)
一本の蝋燭の炎がゆらゆらと揺らめく薄暗い部屋の中にて、ノゾミはそう思いながら、ベッドの上で体育座りして俯 きながら虚ろな目で虚空を見つめる。
【……よぉ……バカ女……】
そんななか、蝋燭の奥から戦兎によく似た白髪に赤い目をした青年……『ウェズペリア』処かこの世には既にいない筈の存在であり、ノゾミにとっては良くも悪くも忘れることができない存在でもある、『ジニア動乱』を引き起こした張本人であり黒幕であるジニア・ロックディールがそう言いながら幻影として現れる。
「………」
突然、目の前に現れたジニアが自らが見せている幻影だと朧気ながらも理解しているのか、それともディリンクに変身した月音と遭遇した時のように激昂する程の気力もないのか、ノゾミは何の反応も示さず、廃人のように俯き続ける。
【おまえ、今までのことを『ソイツ』のせいだとでも思っているみたいだが……良いことを教えてやるよ。】
そんなノゾミに対し、幻影は冷たい目で見ながら言葉を続ける。
【おまえが俺達の世界に来た時から既に『ソイツ』はおまえの中にはいなかった……『ウェズペリア』が『ハルシオン』の影響で消滅したように所詮は『仮面ライダーが存在しない世界』の住人だからな。一緒に消滅したんだろう。
だが、おまえはそれでも暴走を続け、多大な被害を出した………】
「ッ!?」
【この言葉の意味はわかるな?つまり、俺達の世界でのおまえの暴走と『ソイツ』は全くの無関係だってことだ。】
「ッ……」
幻影からの言葉にノゾミは堪らずに目を閉じ、耳を両手で塞ぐ。
【自分の弱さを、自分の不幸を『ソイツ』のせいにするな。
初めて俺達の世界に来たあの夜のことも、『シャングリラ』の壊滅も、今回の暴走も全部、他でもないおまえ自身の未熟さが招いたもんだ。】
そんなノゾミを、幻影は冷たい目で見ながら罵倒し、その言葉はノゾミの耳に届く。
【そんなに『希望の担い手』になりたいんなら、先ずは自分
自身の未熟さを認めるところから始めるんだな……】
「ッ!?」
いつの間にか幻影はノゾミの目の前まで近付き、ノゾミの耳元で囁く。
「わ……私は……」
「ノゾミ?」
【それすらできねぇんなら、もうおまえに価値はない。頭の悪い小娘のまま、故郷で惨めに生きてろ。】
「私は……っ!!」
「ノゾミ!しっかりして!!ノゾミ!!」
「!?セッ……テ……?」
気が付くとジニアの幻影はいなくなり、いつの間にかひなたと共に部屋に入っていたセッテがベッドの上で縮こまっていたノゾミの肩を掴み、揺さぶっていた。
「わ、私は……」
「お願い………ノゾミは独りじゃないよ………私がいるから………っ!!」
「人は独りでは翔べない。そういう言葉もありますから……」
酷く思い詰めた表情でそう呟くノゾミに対し、セッテは悲痛な表情で、ひなたは冷静に諭すようにそう言う。
「………」
そんな二人の言葉を聞いて、ノゾミは『ジニア動乱』の最中、暴走した自分を助けて死亡したガンバライダー、神崎俊哉の最期の言葉を思い起こす。
(『別に格好悪くても良いじゃねぇか。
別に間抜けでも良いじゃねぇか。
無理して背伸びして格好つける必要なんかないだろ。
その手に誰かを護るための“力”さえあれば……
今は何も見えないかもしれない。
誰の声も届かないかもしれない。
でも、おまえを想ってくれる人はたくさんいるよ。』)
「………」
(『だから、おまえを想ってくれる人達を裏切ることだけはやめろ。
大丈夫………おまえにも………笑える日が………来るから………』)
「………無理だよ。神崎さん………こんな『希望』なんて名前だけで空っぽな私は笑って良い訳ない………ましては貴方のことを『犬死に』なんて言った私なんか………!!」
「!?ノゾミ………」
「!?どういうことですか……?」
更に俯きながらノゾミが呟いた『犬死に』という言葉について、ひなたは少し真剣な表情でそう尋ねる。
「………」
「話してください、ノゾミさん。」
「……私はーーー」
次の瞬間、ノゾミは重い口を開け、ハルシオン世界でアマゾン化して暴走、多くの人々を喰らってしまったこと
そんな自分を止める過程で仲間だったガンバライダー、神崎俊哉が犠牲になってしまったこと
荒んでいた感情でその犠牲を『犬死に』だと遺族の前で口走ってしまったこと等を話した。
自らの『罪』を告白するかのように……
「………」
(私……何やってんだろう……何のために戦ってたんだろう………)
一本の蝋燭の炎がゆらゆらと揺らめく薄暗い部屋の中にて、ノゾミはそう思いながら、ベッドの上で体育座りして
【……よぉ……バカ女……】
そんななか、蝋燭の奥から戦兎によく似た白髪に赤い目をした青年……『ウェズペリア』処かこの世には既にいない筈の存在であり、ノゾミにとっては良くも悪くも忘れることができない存在でもある、『ジニア動乱』を引き起こした張本人であり黒幕であるジニア・ロックディールがそう言いながら幻影として現れる。
「………」
突然、目の前に現れたジニアが自らが見せている幻影だと朧気ながらも理解しているのか、それともディリンクに変身した月音と遭遇した時のように激昂する程の気力もないのか、ノゾミは何の反応も示さず、廃人のように俯き続ける。
【おまえ、今までのことを『ソイツ』のせいだとでも思っているみたいだが……良いことを教えてやるよ。】
そんなノゾミに対し、幻影は冷たい目で見ながら言葉を続ける。
【おまえが俺達の世界に来た時から既に『ソイツ』はおまえの中にはいなかった……『ウェズペリア』が『ハルシオン』の影響で消滅したように所詮は『仮面ライダーが存在しない世界』の住人だからな。一緒に消滅したんだろう。
だが、おまえはそれでも暴走を続け、多大な被害を出した………】
「ッ!?」
【この言葉の意味はわかるな?つまり、俺達の世界でのおまえの暴走と『ソイツ』は全くの無関係だってことだ。】
「ッ……」
幻影からの言葉にノゾミは堪らずに目を閉じ、耳を両手で塞ぐ。
【自分の弱さを、自分の不幸を『ソイツ』のせいにするな。
初めて俺達の世界に来たあの夜のことも、『シャングリラ』の壊滅も、今回の暴走も全部、他でもないおまえ自身の未熟さが招いたもんだ。】
そんなノゾミを、幻影は冷たい目で見ながら罵倒し、その言葉はノゾミの耳に届く。
【そんなに『希望の担い手』になりたいんなら、先ずは
「ッ!?」
いつの間にか幻影はノゾミの目の前まで近付き、ノゾミの耳元で囁く。
「わ……私は……」
「ノゾミ?」
【それすらできねぇんなら、もうおまえに価値はない。頭の悪い小娘のまま、故郷で惨めに生きてろ。】
「私は……っ!!」
「ノゾミ!しっかりして!!ノゾミ!!」
「!?セッ……テ……?」
気が付くとジニアの幻影はいなくなり、いつの間にかひなたと共に部屋に入っていたセッテがベッドの上で縮こまっていたノゾミの肩を掴み、揺さぶっていた。
「わ、私は……」
「お願い………ノゾミは独りじゃないよ………私がいるから………っ!!」
「人は独りでは翔べない。そういう言葉もありますから……」
酷く思い詰めた表情でそう呟くノゾミに対し、セッテは悲痛な表情で、ひなたは冷静に諭すようにそう言う。
「………」
そんな二人の言葉を聞いて、ノゾミは『ジニア動乱』の最中、暴走した自分を助けて死亡したガンバライダー、神崎俊哉の最期の言葉を思い起こす。
(『別に格好悪くても良いじゃねぇか。
別に間抜けでも良いじゃねぇか。
無理して背伸びして格好つける必要なんかないだろ。
その手に誰かを護るための“力”さえあれば……
今は何も見えないかもしれない。
誰の声も届かないかもしれない。
でも、おまえを想ってくれる人はたくさんいるよ。』)
「………」
(『だから、おまえを想ってくれる人達を裏切ることだけはやめろ。
大丈夫………おまえにも………笑える日が………来るから………』)
「………無理だよ。神崎さん………こんな『希望』なんて名前だけで空っぽな私は笑って良い訳ない………ましては貴方のことを『犬死に』なんて言った私なんか………!!」
「!?ノゾミ………」
「!?どういうことですか……?」
更に俯きながらノゾミが呟いた『犬死に』という言葉について、ひなたは少し真剣な表情でそう尋ねる。
「………」
「話してください、ノゾミさん。」
「……私はーーー」
次の瞬間、ノゾミは重い口を開け、ハルシオン世界でアマゾン化して暴走、多くの人々を喰らってしまったこと
そんな自分を止める過程で仲間だったガンバライダー、神崎俊哉が犠牲になってしまったこと
荒んでいた感情でその犠牲を『犬死に』だと遺族の前で口走ってしまったこと等を話した。
自らの『罪』を告白するかのように……