復讐……心……

『記憶』の中の『誰か』の言葉にノゾミは梨紗に話を聞く前に部屋で千景に言われたことを思い起こす。

(「今回の結果は貴女が招いたことよ。『護る』ためにではなく、『復讐心』で戦うから周りが見えなくなってしまう……だから、大切なものを見落としてしまうのよ………」)

ッ………

ノゾミは改めて今回の自らの一連の行動を振り返る。

目の前で二人の同級生がノイズに殺害されたのを見て、怒りと憎しみから一人で突っ走り手当たり次第に攻撃してしまった。

その先で偶然居合わせた、月音が変身したディリンクを、『ジニア動乱』では『敵』側に立っていた門矢士が変身したディケイドと誤認し、更に憎しみを爆発させながら襲いかかってしまった。

自らの行動を振り返り、客観的に見つめ直すなか、場面はディリンクと共に雪崩れ込んだ、フェイトと千景が変身したブレイヴとデスガンが変身したサマエルの戦いの場へと移る。

！？フェイトさんのライダーのスーツがあんなにボロボロに………っ！！？

何故、あの時、気付かなかったのか……答えは明白だった。

そうか……あの時の私は『復讐心』に囚われて………見えていた筈のフェイトさんの状態を視界から除外していたんだ………

その直後、後から駆けつけたセッテからの謝罪を受け、呆然としながら我に返るもその際に生じた隙を突いたサマエルが『神の毒』を染み込ませたライダーキックを放とうとする。

結果、咄嗟に庇ったフェイトがその毒牙に貫かれてしまった。