揺れるココロ

「ーーーっと、ここまでが当時、ノゾミの身や周囲に起きたこと、僕も参加していた『ライダー同盟』の間で起きたことだよ。」

「………」

「……ツキトはその時、何をしていたの?」

月音がはやて達に『Xショッカー』のことについて、説明し始めた頃、レイラと一緒にツキトから『ジニア動乱』時でのノゾミのことについての説明を聞いたアキは静かな声でそう尋ねる。

「…詳しいことは言わない、あの戦いを経験した人くらいにしかね。けれど、僕はノゾミの味方をしなかったのは確かだよ。」

「……どうして……っ!?」

「………それも詳しいことは言わない、例え、幻滅されようが、軽蔑されようがね……僕にだって感情くらいはある。それで察してほしい……」

「ッ!だからって…っ!!」

恋人であるレイラに対してもそう答えるツキトに対し、怒りで顔を赤くしたアキが険しい表情で詰め寄ろうとする。

「!?」

「………」

が、レイラが無言で彼女の肩を掴み、それを止める。

「レイラ、なんで止め」

「……話はわかったけど、それでもあたし達は納得できないんだ。だから、距離を取らせてもらうよ。」

「……わかった。恋人として別れることも視野に入れておく。流石に婚約は解消できないけど…」

「それは国の問題だし、今までの年月もあるから何も言わない。行くよ。」

「えっ、ちょっ」

そうしてアキはレイラに手を引っ張られる形で離れていく。

「……中途半端に近くて、中途半端に遠い。友人といえどそういう距離だったから僕は何もしなかったし出来なかったんだ。」

二人の姿が見えなくなった後、ツキトは感情を窺わせない表情でそう呟いた。
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