先人からの言葉

梨紗の部屋・・・

「ーーーということなんですけど………」

「梨紗さん、何かわかりますか?」

「………」

その頃、ノゾミとセッテは学園での暴走時、ノゾミを呑み込んでいた『何か』について、梨紗に相談していた。

「………セッテ。」

「はい。」

「確かに私はノゾミの中にいる『それ』について、ある程度の見当は着いているし、教えることは簡単だよ。」

「本当ですか!?」

「えぇ。でも、今は敢えて教えない。」

「!?どうしてですか!?」

「理由は二つ。一つは今はまだ『その時』じゃない。もう一つは……」

「………」

梨紗はそう言いながら、未だに暗い表情を浮かべているノゾミを見る。

「ノゾミ。今、貴女は『それ』のせいにして逃げようとしてない?少なくとも、私には今の貴女はそういう風に見える……」

「ッ………」

梨紗にそう指摘されたノゾミは胸が締め付けられるような表情を浮かべる。

「ノゾミ………」

「……ここからは『創世龍』としてではなく、貴女の友人の一人として忠告してあげる。今のままでは、本当の『希望』を忘れかけている貴女では『それ』に勝つことはできない。そして、貴女にとっての『希望』を喪うことになる。今度こそ、永遠に………」

そんななか、梨紗は真剣な表情でそう言う。

「ッ………」

「ノゾミ………」

「……なんでも一人で抱え込み、“力”だけを追い求めるとどうなるか……良くも悪くも六課内で『ある事件』が起きたわ………」

自身の忠告を聞いて俯いてしまうノゾミを見て、梨紗は自身の空色の神機、『ミストル』の手入れをしながらみゆき達、スマイルプリキュアと知り合う前に起きた事件について、語り始める。

「なのはは腕輪を着ける少し前、ある悩みを抱えていたわ。それは『ライダーの力』についてだった。当時、『機動六課』の分隊長で『ライダーの力』を持ってなかったのは彼女だけで部隊長のはやても母親からファイズギアを譲り受けてファイズとしても活動するようになった……それからよ。彼女が『仮面ライダーに変身した幼馴染み二人に助けられる』という悪夢を見るようになったのは……」

「え?それが悪夢なんですか?」

かつて、なのはが見ていたという悪夢の内容にセッテは思わずそう言う。

「……今まではフェイトだけだったのがはやても変身するようになったことで『置いていかれた』と思ったのでしょうね。二人に対する劣等感を覚えた彼女はより強力な“力”を求めるようになった……」

「「………」」

「そんな時、フェイトが仕事であるガイアメモリを回収してきた……『Rapsblutenラプスブリューテ』メモリ……『菜の花』の記憶を宿すドーパントメモリよ……」

「!?」

「!?まさか、なのはさんの由来って………!?」

「そう。ミーティングでそのメモリを知ったなのはは『運命』だと感じてしまった。そして、FW陣の訓練の後、一人で保管庫へと行って、無断でそれを持ち出してしまったの。」

「そんな……」

「なのはさん……ッ!!」

「幸い保管庫から出たところでフェイトが駆けつけたから外には知られずに済んだけど………フェイトもラプスブリューテという言葉に聞き覚えがあった。それがわかった時、仲間内から『なのはの様子がおかしい』と聞いて全て察した。だからその時、フェイトはなのはにこう言ったわ。

『なのは、それを渡して。それに、手を出しちゃダメだ!!』

ってね。でも、なのはは涙を流しながら、それを首に挿した………」

ノゾミは『信じられない』と言いたげに呆然とし、セッテは驚愕の表情を浮かべるなか、梨紗は真剣な表情でそう説明した。
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