先人からの言葉

大広間・・・

「美遊ちゃん、大丈夫かな……?」

「ちょっと心配だね……」

「セレナ。あなたは大丈夫?」

「だ、大丈夫……大丈夫だから……」

アリサと一緒に退室した美遊の身を案じた響と未来がそう話をするなか、そう尋ねるマリアに対し、セレナは震えながら、そう言いながらマリアの手を握る。

(サーヴァント……意味として考えるなら『召し遣い』だが、メデューサにジル・ド・レェは神話や歴史上の人物だった筈………)

「……説明を続けてもよろしいでしょうか?」

そんなセレナを見ながら、克己が真剣な表情でそう思案するなか、セイバーはそうシャトラに確認を取る。

「あぁ、続けてくれ。」

「では、サーヴァントについてですが、サーヴァントとは人類史における偉人や人物を『エーテル』と呼ばれる魔力によって具現化、『マスター』と呼ばれる召喚主達に使役される存在のことを言います。」

「なるほど………」

「全然わかりません!!」

対するシャトラから許可を取り、再開したセイバーの説明を聞いて、未来がそう言うなか、響は清々しい表情でそう言う。

そんな響の言葉にその場にいたほぼ全員がずっこけそうになる。

「す、清々しすぎるだろ………」

「そういえば、響ちゃんはこういう子だったのを忘れてた……え~と、簡単に説明すると『特殊能力を得て一時的に甦った偉人』……って言えば良いのかな……」

「それってゾンビってことデスか……?」

そんな響の言葉に秀介が頭を抱えながらそう言うなか、苦笑いしながらそう補足説明をする彩夏に対し、切歌は若干震えながらそう尋ねる。

「う~ん……霊体化できるから正確には幽霊とゾンビの中間みたいなものかな……あ。霊体化は文字通り霊体…実体もなく、見えなくなるスキルね。」

「?どういうことだ?戦兎。」

「戦兎さん。私達にわかりやすいようにお願いします。」

「う~ん……あ。良い例えがいた。俺達がいた世界で言う、タケル達が変身するゴースト。」

対する彩夏からの説明を聞いて、そう話しかける龍我と月音に対し、戦兎はわかりやすくそう説明する。

「あぁ!!」

「なるほど………」

「いや、その説明は……確かに例えとしては一番わかりやすいけど………」

「魔法って……なんでもありだな………」

「魔法というより魔術だけどな。」

「違いがわからねぇよ………」

そんな戦兎の説明に彩夏が苦笑いしながらそう言うなか、そう言う秀介の言葉にクリスは遠い目をしながらそう言う。

「クリス先輩!?」

「目が遠くにいってるデスよ!?」

「……ところで、ジルが言っていた『聖杯』とは何だ?」

そんなクリスに調と切歌が慌てながらそう言うなか、イタチは冷静にそう尋ねる。

「う~ん……次元は違うけど、『時空管理局』に所属しているならジュエルシードみたいなもの。って言えばわかるかな?」

「!?なるほど………」

「?ジュエルシード?」

「日本語に訳したら『宝石の種』……か?また聞き慣れない単語が出てきたな……」

「マリア。何か知ってる?」

そんなイタチに対し、そう説明する彩夏の言葉に響とクリスは首を傾げながらそう言うなか、調はマリアにそう尋ねる。

「そうね……貴女達は『時空管理局』について、どんな感じに聞いているのかしら?」

「え~と……『様々な世界を観測、支援している組織』……って聞いてるよ。」

「デス。」

「?お二人は『時空管理局』に所属しているのではないのですか?」

そんな三人の会話に違和感を感じたセレナはそう調と切歌に尋ねる。

「え!?え~と、今までマリアとは部署が違ってたから詳しくは関わってなかったの。」

「そ、そうなんデスよ!!」

「そうなの?マリア姉さん。」

「え、えぇ。そうね。今回は聖遺物やノイズとも関連が深い案件だから、切歌や調達にも手伝ってもらうことになったんだけど……」

そんなセレナに対し、三人は慌てながらもそう言って誤魔化す。

「あれ?でも、フェイトさんは私達とは違うちきゅ」

ゴスッ!!

「痛ぁっ!?」

「(コソッ)バカ!ちょっとは空気を読みやがれ!!」

そんななか、危うく口を滑らせそうになる響を、クリスは小声でそう言いながら鳩尾に肘鉄を食らわせて止める。

「?」

「え~と、貴女達がさっき、言ったように『時空管理局』は主に様々な世界を観測して、過干渉にならない範囲で支援しているわ。各々の世界が壊れないようにね。でも、全ての世界をそうして護れるほど現実は甘くなかった……元の技術が進歩し過ぎてたが故に壊れ、滅んでしまった世界も幾つもある………」

そんな響達の様子に首を傾げるセレナの頭を撫でながら、マリアは少し真剣な表情で説明を再開する。

「「「「「「!?」」」」」」

ズズッ

「……どの世界でも科学の行き着く先は破滅だなぁ……」

「黙ってろ。エボルト。」

そんなマリアの説明に響やセレナ達が驚愕の表情を浮かべるなか、コーヒーを飲みながらそう言うエボルトに対し、龍我はそう言う。

「……厄介なのはそうして世界が滅んだ後も滅ぼした技術や兵器が時空間のなかを漂い、他の世界に行き着いてしまうことが多々あるということ……そういった技術や兵器のことを『時空管理局』は総称して『ロストロギア』と呼んでいるわ……」

そんななか、マリアは真剣な表情でそう説明した。
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