蝕む闇

回想終了、現在・・・

「ねぇ、ノゾミ。ノゾミは最初、何のために戦おうって思ったの?」

「私は………」

セッテにそう尋ねられたノゾミは彩夏から初めてホープドライバーを渡された時のことを思い起こす。

「……大切な皆をただ、護りたくて………」

「……あの時もそれ、意識できてた?」

「ッ……あの時は……」

そう言うセッテの問いかけにノゾミはうずくまりながら、学園で暴走に近い形でノイズを殲滅し、果ては月音の変身したディリンクを、『ジニア』動乱では敵として立ちはだかった破壊者ディケイドと誤認して襲いかかった時のことを思い起こしながら暗い表情を浮かべる。

(あの時……確かに私は目の前で同級生を殺したノイズに怒りを覚えた………でも……)

それだけではない。思い起こせばあの時、『自分じゃない誰か』の激情が自分を支配していたことをノゾミは朧気おぼろげながらに感じていた。

(前の、ミラーワールドで初めて龍化した時のとも違ったあの感じ………あれは一体何だったの……?)

「ッ………!!」

(もし、この先の戦いで同じようなことが起きたら……私は………っ!!)

「消えたくない……消えたくないよ……」

「!?ノゾミ………」

自分を支配していた『何か』に対し、ノゾミは恐怖を感じながら震えだす。

「………」

「!?」

そんなノゾミの手を、セッテは優しく握り締める。

「ノゾミ。そうやって一人で抱え込まないで。私も側にいるし、先人に話を聞くのもアリだと思うよ。」

「セッテ………」

「聞いてみよう?梨紗さんに……」

「……うん……」

そうして二人は梨紗に話を聞きに行った。
16/18ページ
スキ