蝕む闇

「ーーーっていう訳だったんだけど……」

「なるほど………で?人命救助ってどういうことだ?似非エセ兎。」

「おいおい。中身が俺とわかった途端に酷い言い様だねぇ……」

戦兎からの説明を聞いた後、若干目を細めながらそう尋ねる月音に対し、エボルトは人間がするような仕草で両前肢の肉球を上に向けながら、肩をすくめながらそう言う。

((一度は遊び感覚で地球を滅ぼそうとした奴がよく言う……))

「「「「「「「「「ってその兎、喋れたの(デス)(か)!!?」」」」」」」」」

「「あっ………」」

そんなエボルトに戦兎と龍我がそう思うなか、エボルトが喋れることを知らずに戦いに向かっていたマリア、響、未来、クリス、切歌、調、スバル、ティアナ、ヴェルザの九人はそう困惑の声を上げる。

「あぁ~……こいつに関する詳しい説明は後で良いか?なんか色々と詰まっているみたいだし……」

「「「「「「「「「あ。はい。」」」」」」」」」

「で、さっき、言っていた『人命救助』ってどういうことだ?エボルト。」

そんな九人を一先ず落ち着かせてから月音は再度そう尋ねる。

「言葉通りさ。俺が一時的にでも憑依して細胞を増殖、回復に回さなければフランは死んでいた。なんせ戦いの途中、怪人にどてっ腹を射抜かれたからなぁ……」

『!?』

対するエボルトからの言葉に周りは驚愕の表情を浮かべる。

「「「………」」」

そんなエボルトに対し、月音と戦兎、龍我の三人は訝しむ。

「え~と……エボルトの言っていることは本当ですよ。実際に私、ジャガーロードにお腹を射抜かれたので……」

「えぇっ!?」

「大丈夫だったんデスか!?」

そんななか、苦笑いしながらそう説明するフランに対し、響と切歌がそう尋ねる。

「はい。エボルトが駆けつけてから今までの記憶がないんですが、どういう訳か傷も癒えてますし……」

「まぁ、俺が憑依してからさっきまでの間、フラン自身の意識は眠ってたからなぁ……あ。因みにジャガーロード共は俺がフランの身体で変身して倒しといた。」

「エボルトが……」

「人助け……?」

対するフランが首を傾げながらそう答えるなか、若干どや顔しながらそう説明するエボルトを見ながら、戦兎と龍我は目を丸くしながらそう言う。

「あのぅ……ところで、私の身体に今までとは違う何かがあるような感覚があるんですが……」

「あぁ、憑依している間に増えた分の俺の細胞だな。」

「!?エボルト!てめぇ、まさか、この子を操り人形にでもしようと!!」

「違う違う。憑依して傷を治す過程で増えた分をフランに適合させたもんだから、その細胞をそのままこの身体に戻したら拒絶反応が起きるかもしれないだろ?だから、増えた分はそのままフランに残すしかなかったんだよ。」

フランの身体にエボルトの細胞が宿っていることについて、若干声を荒げながらそう言う龍我に対し、エボルトは右前肢を上げて横に振りながらしれっとそう説明する。

「……一応筋は通ってはいるが、だからっておまえがこの子を操らないって保証はないだろ。」

「信用ないねぇ……」

「二人と出会う前から知っている私からすれば、カシラ……猿渡さんとか内海さんとかを仕込んでいた細胞で操った実績があるから当然の疑いだと思うが?」

真剣な表情でそう言う戦兎にそう言うエボルトに対し、月音はジト目で見ながらそう言う。

「おっと!これは手厳しい……」

「え~と……」

「……話を続けても良いか?」

「あぁ、すまない。続けてくれ。」

そんな月音の指摘にエボルトがそう言い、ひなたがそう言うなか、そう言うシャトラに対し、月音は謝罪しながらそう言う。

「では、仕切り直して……イタチさん。」

「あぁ……」

シャトラに話を振られたイタチと隣にいる詩音に話し合いに参加している全員から注目が集まる。

「……先ずは自己紹介だな……俺はうちはイタチ。この次元とは別次元の『時空管理局』、『特務部隊 SHINOBI』の部隊長で忍兼魔導師兼転生者だ。」

「別次元ってことは私達と同じように並行世界からきたってこと……?」

「しかも、梨紗さんや彩夏さんと同じ転生者!?」

「後、しのびってことは忍者ってことデスか!?」

「俺がこの次元にきた理由はこの次元の『ミッドチルダ』にある高町……こっちではアーチャー宅か……その付近から観測された高エネルギー反応の詳細を調査するため、そして、彼女からの依頼を果たすためだ。」

イタチからの自己紹介に未来、響、切歌の三人がそう困惑の声を上げるなか、イタチはそう言いながら隣にいる詩音に目を向ける。

「はじめまして。私は博麗詩音。『博麗シリーズ』のNo.04でそこにいる霊夢の姉です。」

対する詩音は真剣な表情でそう自己紹介した。
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