蝕む闇

「ーーー以上が今のフェイト執務官の現状よ。命こそ助かっているけど、予断は許されない………」

「そんな………」

「その『闇』に呑まれたら翼さんやフェイトさんは……」

「くそっ!どうにかならねぇのかよ!?」

ネフィーネから告げられた、フェイトの現状に響と未来が暗い表情でそう言うなか、クリスは思わず声を荒げながらそう尋ねる。

「これまでの戦いでウイルスの方は元になっているもののデータは揃っているから抗ウイルス薬は作れるし、ナノマシンの方も解析すればアンチプログラムを持たせたナノマシンを作り、投与すれば破壊できるわ。」

「本当か!?」

「時間は掛かるけどね。」

「後、サンプルがあれば、より確実になるよ。」

「なら、私が奴から奪い取るわ。」

「!?姉さん……」

「良いのかい?『創世龍』が前線に出て……」

「「「「「「「創世龍!?」」」」」」」

「梨紗さんは人間じゃないのデスか!?」

スカリエッティが言った『創世龍』という単語に響と未来、クリス、切歌、調、セレナ、戦兎、龍我の八人はそう困惑の声を上げる。

「あぁ、そういえば、あなた達は知らなかったわね……」

そんな八人に対し、梨紗はそう言いながら自身のことについて、説明を始める。

「私は元は人間だけどね。色々あって『創世龍』と言う、簡単に言えば神様の神様になったの。世界の行く末を見守るのが役目だから。アドバイスだけならともかく、前線に出るのは本当は良くないんだ……」

「神様の神様………」

「マジか………」

「にわかには信じられねぇけど、それならギャラルホルンによる転移に干渉できたことに説明が付いちまうな……」

「で、どうするつもりだい?」

梨紗から『創世龍梨紗自身』についての説明を聞いた後、未来、龍我、クリスの三人がそう言うなか、スカリエッティはそう梨紗に尋ねる。

「今回はちょっとした『裏技』を使うわ。ヒントは『機動六課』………」

「……なるほど………」

『?』

対する梨紗から出た答えを聞いてスカリエッティが何かを察するなか、響や月音達は首を傾げる。

スクッ

「私は準備に移るわ。久々に『あの子』を起こすことになるから………作戦が決まったら教えて。私はそれに合わせて動くわ。」

「わかった、姉さん。」

そうして梨紗は大広間を後にした。
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