賢石の脅威

「くくく……あばよ!奇跡の存在!!」

ジンガはそう言いながら、完全に右腕と一体化しているティルヴィングをカドゥケウスツキトに振り下ろそうとする。

「「ツキトォーーーッ!!」」

「くっ………」

(レイラ………)

アミリの『贄の書』から出てきた漆黒の茨の蔦で拘束されているアクアにとりメルヒェンアキがそう声を上げるなか、カドゥケウスツキトは恋人のことを思いながら仮面の下で瞳を閉じる。

ズガガガァンッ!!

『!?』

が、次の瞬間、横から飛んできた三つの白い光、否、光を纏った三本の短剣がティルヴィングを弾き、軌道を反らす。

「ッ……」

短剣が放たれた方を見ると、アガートラームを展開したセレナが震えながらも短剣を構えている。

「小娘……」

「セレナ……」

「あらよっと!!」ガシッ!!

『!?』

そんななか、箒に乗った魔理沙が横からかっさらうようにカドゥケウスツキトを救出する。

「魔理沙さん!!」

「フッ!!」

シュカカカカッ!!

その直後、ノイズを粗方片付けたルーミアが四本の短剣をジンガの周囲に投擲して突き刺す。

「ハッ!何処に投げてやがる」

シュルルルルルルルッ!!

「ッ!?」

次の瞬間、短剣が突き刺さった所を起点に黒い鎖が現れ、ジンガに絡みついて身動きを封じる。

『バリアブルバインド』

「ちぃぃぃっ!!」

ズズズ……ッ!!

『!?』

続いて、今度はジンガの右肘辺りの空間が歪み、黒い渦のようなものが現れる。

「!?」

(こいつはまさか、ブラックホ)

ズガァァァンッ!!

「ぐはぁぁぁっ!?」

『!?』

次の瞬間、出現した黒い渦…ミニブラックホールによってジンガの右肩から右手首にかけてが消失し、右手はティルヴィングを握ったまま、足元に落ちる。

「趣味の悪い剣ごと綺麗に消してやろうと思ったんだが……流石にフランこの身体でもそこまでは無理か………」

「え?……誰なんですか?」

直後にそう言いながら現れた、エボル・コブラフォームに変身しているフランエボルトに対し、セレナは首を傾げながらそう尋ねる。

「心配するな。俺はおまえ達の味方だ。フランこいつささめゆきみせにはちょいと世話になったしな。」

「てめぇ……っ!!」

「ジンガ!!」

「はあああぁぁぁーーーっ!!」

ズババババババババババババババババババババァンッ!!

そんななか、ダブルエンペラー克己がエターナルエッジとエンペラーエッジでアミリの『贄の書』から出現している茨の蔦を斬り裂く。

「大丈夫か?にとり、アキ。」

「う、うん。」

「ありがとうございます。」

「くっ……大道克己……」

ドカァァァンッ!!

「はぁ……はぁ……」

蔦を斬り裂いた後、そう言うダブルエンペラー克己アクアにとりメルヒェンアキがそう言うなか、先程のジンガの攻撃によって瓦礫の下敷きになっていた阿号が瓦礫を破壊しながら立ち上がる。

「阿号!!」

「よかった……無事だったんだ……」

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

「「!?」」

そんななか、二十弾のGNマイクロミサイルがジンガとアミリに襲いかかる。

「チッ!!」

「くっ……」

パァァァ……ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァンッ!!

ジンガとアミリが体内の『賢者の石』の“力”を利用して展開した障壁で防ぐなか、GNマイクロミサイルが辺りに着弾し、土煙が舞う。

ドンッ!!

「!?」

「………」

次の瞬間、いつの間にか黒天牙狼のアーマードであるGR装備を展開した夢羽が土煙を目隠しにしながらジンガに急接近してくる。

ガキィィィンッ!!

次の瞬間、夢羽が振り下ろした大型GNバスターソードがジンガの障壁とぶつかり合う。

バチバチ……ッ!!

夢羽が振り下ろした大型GNバスターソードとジンガの障壁は“力”が均衡し、火花が散る。

「クロ……」

『了解。』

ガキョンガキョンッ!ガキョンガキョンッ!

が、夢羽がそう言い、黒天牙狼クロがそう言った瞬間、大型GNバスターソードから空薬莢が一度に二発が二回で計四発、排出される。

「!?」

(魔力が膨れ上がっただと!?)

「はあああぁぁぁっ!!」

ズバァァァンッ!!

次の瞬間、爆発的に上がった夢羽の魔力にジンガが困惑するなか、夢羽はツインカートリッジで底上げした魔力を乗せて障壁を叩き斬る。

「ジンガ!!」

「ちぃぃぃっ!!」

(まずは一人!!)

「はあああぁぁぁっ!!」

障壁を叩き斬った後、夢羽はそう思いながら大型GNバスターソードでジンガを両断しようとする。

『エニグマ』

『!?』

ドカァァァンッ!!

「きゃあああぁぁぁっ!?」

が、次の瞬間、二人の間に黒い影が割って入るや否やその音声と共に夢羽が吹き飛ばされた。
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