凶鳥が狂奔する時、雷光は散る。

「……戦兎さんか……」

ピッ!

「もしもし?」

『あ。月音?いきなり悪いんだが……色々と面倒なことに巻き込まれた……』

「面倒なこと……」

(十中八九こっちで起きたことと関係しているな……)

「……店は大丈夫なんですか?後、戦兎さん達も……」

『あ、あー、エボルトを置いていったから店も大丈夫……だと思う……』

「?」

(なんでエボルトの名前が出てくるんだ?)

「とりあえずわかりました。こちらも授業どころじゃなくなってるから早く帰ることになるかと。怪我人がいるから先に……」

『?月音?』

通話の向こうで戦兎が口にしたエボルトのことに首を傾げながらもディリンク月音は負傷して倒れたフェイトや事情を知っているであろうノゾミ達三人を連れていく旨を伝えようとする。

が、今は倒れたフェイトの方に意識が向いているノゾミの方を見て止まる。

(……今、オーロラを使ったらまたナカムラが暴れるんじゃ……どうするか……)

ノゾミが再び暴走する可能性を危惧しオーロラが使えない現状、どうするべきかディリンク月音が思案するなか、

「フェイトさん!彩夏さん!!」

「ナカムラ!クロハラ!!」

「大丈夫!?」

他の生徒や教師達の避難誘導を終えたヴィヴィオ、マコト、美咲の三人が駆けつけてくる。

「!?ディケイド!?」

「の色違い!?」

(アイトや白銀も『ディケイド』を知っているのか……)

「なぁ、なんで『ディケイド』を知っているんだ?」

今の姿を見てそう反応するマコトや美咲に対し、ディリンク月音はそう尋ねる。

「!?この声ってもしかして……」

「星宮か!?おまえ!!」

「………」

パァァァ……

「「「「「「!?」」」」」」

「………」

対する美咲やマコトが声から自分の正体に気付いたのを察したディリンク月音は次の瞬間、変身を解く。

「おまえ、やっぱり転生者だったのか!?」

「?転生者って何?ってそれはともかくその人を治療できる場所に移動させたいんだけど……」

変身を解いた後、そう尋ねてくるマコトにそう聞き返しながら、月音はフェイトを指差しながらそう言う。

「そんな……私が襲っていたのは門矢士じゃなくて月音ちゃん……だったなんて……」

「ノゾミっ!!」

そんななか、自分が先程まで殺意むき出しで襲っていた仮面ライダーの正体が門矢士ではなく月音だったという真実へのショックとこれまでの戦闘の負荷からノゾミは気を失う。

「ッ!!」

(今ならいけるな……)

「あ~、悪い。お互いに冷静に話し合いができるように場所を移させてもらうよ。」

パァァァ……

「「「「「!?」」」」」

それを見た月音はそう言いながらオーロラを使い、自分を含めた八人を学園のグラウンドから『ささめゆき』へと移動した。
7/7ページ
スキ