凶鳥が狂奔する時、雷光は散る。

「くくく……残念、だったな……」

「くっ……!!」

(いくらソードスキルとはいえ、こっちは全体重と遠心力、重力を乗せてるのに……!!)

『姉さん!くっ!『七人御先』、発動!!』

シュシュシュシュシュシュシュンッ!!

最後の一撃が競り負けたことに勇華フェイトが内心、悔しそうにするなか、勇華千景は体制を整える時間を稼ぐため、自分だけの意思で『七人御先』を発動させる。

『“天地轟雷・月下冥陽”!!』

ズドドドドドドォォォンッ!!

ズババババババァァァンッ!!

次の瞬間、勇華千景は本体を除く六人verの“天地轟雷・月下冥陽”をサマエルデスガンに繰り出す。

シュウウウ……

「『!?』」

が、その直後、六人の分身が消滅してしまう。

『そんな……まだ発動時間はあった筈よ!?』

(くっ……ここにきて今までの疲労ツケが……っ!!)

「どうやら、思ってた、より、疲れが、溜まって、いた、ようだな。」

「『!?』」

今回のサマエルデスガンとの戦闘で受けているダメージと疲労に加え、日頃の激務からの疲労によって『七人御先』が解けたことに勇華フェイトが内心、舌打ちするなか、先程のダークスカルの時とは違い、大したダメージを負っていないサマエルデスガンがそう言いながら肉簿してくる。

(ダメージが殆んどないっ!?)

「フッ!!」

負傷し、疲労も出ているとはいえ、六人verの“天地轟雷・月下冥陽”を食らって、ほぼ無傷で肉簿してきたサマエルデスガンに動揺する勇華フェイトに対し、サマエルデスガンはクラッシュライザーで刺突を繰り出してくる。

「くっ!!」

ガキィィィンッ!!

対する勇華フェイトは水平に構えた大葉刈の柄で受け止める。

「フッ!!」

「!?」

ガキィィィンッ!!

が、サマエルデスガンはすぐさまクラッシュライザーのエストック状の刀身を大葉刈の柄の下に滑らせてからテコの要領で持ち上げることで勇華フェイトの隙を作り、

ズガァァァンッ!!

「あぁ……っ!?」

クラッシュライザーから放つエネルギー弾で勇華フェイトの左肩を撃ち抜く。

「!?フェイト!!」

「余所見をするなっ!黒原彩夏!!」

勇華フェイトが追い詰められていることに気付き、一瞬だけ動きを止めるフラッシュ彩夏に対し、ハイド零斗はそう言いながら逆手に持ったハイドブレイガンで斬りかかってくる。

「くっ!!」

ガキィィィンッ!!

対するフラッシュ彩夏は二刀流のフラッシュブレードをクロスさせて受け止める。

ズドォォォンッ!!

「ちっ!!」

が、その直後、ハイド零斗は鍔迫り合いをした状態で銃口をフラッシュ彩夏に向けて光弾を放ち、フラッシュ彩夏は舌打ちしながらも紙一重でかわし、距離を取った。
3/7ページ
スキ