ヴェノムの脅威

「………」

ドカァァァンッ!!

が、ヴェノム加頭はその拳を左手で易々と受け止める。

「!?止められた!?」

「だけではありませんよ。」

「!?」

ブシュウウウウウッ!!

ヴェノム加頭がそう言った瞬間、受け止められた右拳から右肩にかけての皮膚が所々裂け、血が噴き出す。

「ぐっ……!?」

「「「「和輝(君)!!ッ!?」」」」

ブシュウウウウウッ!!

その直後、ムテキベイダー和也の『マギルティ・センス』で感覚を共有していた他の四人の右拳から右肩にかけての皮膚が所々裂け、血が噴き出す。

「なるほど……どうやら受けるダメージもシンクロするようですね。」

「くっ……てめぇ、一体何を……!?」

「ただ重力操作を応用して、彼が放った“断空拳”の衝撃をそのままお返ししただけですよ。」スッ

「!?」

右腕から流れる血を押さえながらそう尋ねるムテキベイダー和也にそう答えながら、ヴェノム加頭は和輝に左手を翳し、念力で浮き上がらせる。

「フッ!!」

ドッカァァァンッ!!

「ぐはあああぁぁぁっ!?」

次の瞬間、ヴェノム加頭は浮き上がらせた和輝を近くにある建物に思いきり叩きつける。

「「ぐぅぅぅぅぅっ!?」」

「「きゃあああぁぁぁっ!?」」

「受けた苦痛もシンクロするなら……」

念力で建物の壁に叩きつけられた和輝が受けた苦痛が他の四人にも襲うなか、ヴェノム加頭はそう言いながらドライバーからマテリアルユートピアを引き抜き、

「『死』はどうなのでしょうね。」

ヒドラセーバーの竜の頭を模した鍔にある、二本の角を模した円柱型のスロットに差し込む。

『マテリアルユートピア!!』

カアアアァァァッ!!

すると次の瞬間、そう言う音声と共にヒドラセーバーから暗い金の光の大剣が形成される。

「ッ!レイ!!バスターライフルモード!!」

『はい!!』

シュウウウ……

その大剣を見たムテキベイダー和也はレイをバスターライフルモードに変えて魔力を収束させる。

春美とひかるもボウガンフォームのハートキーパーとラグネルに魔力を収束させていく。

「!?」

(収束ブレイカーですか……)

「一輝!今のうちに和輝を頼む!!」

「あぁ!!」

三人の魔力収束にヴェノム加頭が気を取られるなか、一輝が瞬歩を使って和輝を回収する。

「これが俺の全力全開!“スターダストブレイカー”!!」

「“エターナルブリザードアロー”!!」

「轟け!“サンダードラゴンブレイカー”!!」

ズガアアアァァァーーーンッ×3!!

次の瞬間、三人はそう言いながら一斉に収束砲を放つ。

「………」スッ

三人が放った収束砲に対し、ヴェノムは防御体制を取ることなく大剣ヒドラセーバーを翳す。

キュアァアァァアアアァアアァァァアァアァァアァアアアァァアァアァァアアアァアアァァァアァアァァアァァッ!!

「「「「「!?」」」」」

次の瞬間、まるで女性の悲鳴のような響きと共に三人の収束砲が大剣に吸収されていき、その刀身に三人の魔力光の色が加えられていく。

「こいつ……俺達の魔法を!?」

「これがマテリアルユートピアの“力”ですよ。」

カアアアァァァッ!!

そう困惑の声を上げるムテキベイダー和也ヴェノム加頭がそう言うなか、三人の収束砲は吸収され、大剣は暗い金を基調に赤、青、黄色の三色を加えた四色の輝きを放ち始める。

「ッ!!」

(あれはマズい!!)

「はぁっ!!」

ズバアアアァァァーーーンッ!!

四色に光り輝く大剣を見てムテキベイダー和也がそう思いながら一枚のカードを取り出すなか、ヴェノム加頭は大剣を振るって巨大な四色の光の斬撃を放ってくる。

ズガアアアァァァーーーンッ!!

斬撃は命中して土煙が舞う。

カァァァ……

「あ、危なかった……」

が、次の瞬間、春美達四人の前に立ち、雲に突き刺さるほどの巨大な黄金のシールドを展開した、先程とは違い、今度はハイパーライドヘアーの色が茶色に変わり、豆芝の耳と尻尾が生えたムテキゲーマー和也が現れる。

「……でかいな……」

『でかいですね……』

「また奇妙な姿になりましたね。」

ムテキゲーマー和也が展開したシールドを見ながら彩翔と黒椿がそう言うなか、ヴェノム加頭ムテキゲーマー和也の新たな姿に対し、そう言う。

「!その姿って宮藤ちゃんの……」

「あぁ、咄嗟に一翔のカードから宮藤のカードにトランスした上で『マギルティ・センス』で集めた五人全員の魔力で強化したシールドを展開した……それでも結構ギリギリみたいだったけどな………」

真剣な表情でそう言う春美に対し、ムテキゲーマー和也は先程のヴェノム加頭の攻撃によってヒビを見ながらそう説明する。

パァァァ………

次の瞬間、シールドは徐々に砕けながら光の粒子になり、霧散していった。
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