ヴェノムの脅威

回想、カイザ次元、『ミッドチルダ』、『機動六課』、隊舎、和也の部屋・・・

シュンッ!!

「和也君。ちょっと失礼するな。」

「はやて?どうした?急に……」

『ジニア動乱』が起きる前、元いた次元の『ミッドチルダ』にある『機動六課』、隊舎にて、そう言いながら部屋に入ってくるはやて(カイザ)に対し、和也は首を傾げながらそう尋ねる。

「和也君達、フレイム分隊にお客さんや。」

「どうも。和也さん。」

「リサ!?」

そう言いながらはやて(カイザ)と一緒に入ってきたリサに和也は思わずそう驚きの声を上げる。

「どうやってこっちに?」

「『創世龍』としての“力”で跳んできました。和也さん達、フレイム分隊に大事な話があるんですが……」

「あ、あぁ、わかった。すぐに集める。」

そうして和也は隊舎内にいた春美、ひかる、一輝、和輝の四人を自分の部屋に集める。

「で、リサ。話って何だ?」

「はい。ひかるさんの『アンサートーカー』についてです。」

「私の?」

「ひかるさんの『アンサートーカー』はわかりやすく言えば、『先読み』なんですよね?」

「?うん。そうだけど……」

突然、そう尋ねるリサに対し、ひかるは首を傾げながらそう答える。

「……あくまで私の勘なんですが、今後の戦いでその“力”が通用しなくなるかもしれません。」

そんなひかるや和也達に対し、リサは真剣な表情でそう言う。

「「「「!?」」」」

「!?通用しなくなるってどういうこと?」

「……先読みは確かに戦いにおいて、優位に立つスキルだけど、過信し過ぎるとそれを見越した動きをされた時に動揺して致命的な隙が生まれやすいの。」

『『アンサートーカー』が通用しなくなる』という言葉に動揺しながらもそう尋ねるひかるに対し、リサは冷静にそう話し始める。

「ヒナタ君や私達が使うゼロシステムも得られた情報を徹底的に分析してあらゆる未来を直接脳にフィードバックする仕組みだから『先読み』と似ているんだ。

そんな“力”同士の戦いになった場合、読み合いの勝負になる。だから、『先読み』で見えたからって気を抜かず、行動しながら常に先読みし続ける必要があるの。」

「常に先読みし続ける……」

「でも頼り過ぎれば、予測が追いつかなくなった時に頭が真っ白になって発狂するかもしれないから気を付けること。更に後ろ向きな考えの時に『先読み』したらきっと悪い未来が見える。だから『先読み』する時は常に前向きな思考を続ける必要があるの。」

「前向きな思考……」

「そこは大丈夫そうな気はするな。」

「だな。ひかるさんは基本春美さんと漫才やってるくらいだし。」

「ちょっ、和也に一輝君!ちょっぴりシリアスな場面でそう言う!?」

「フフ……普段から前向きな人ほど後ろ向きになった時の反動が大きいの。強く思い込みがちになりやすいから。」

そう言う和也と一輝にそうツッコミを入れる春美の様子を見て、リサは微笑みながらそう言った。
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