ヴェノムの脅威

「はあああぁぁぁーーーっ!!」

「おやおや……冷静さを欠き、素手で向かってくるとは……」

殴りかかってくるムテキゲーマー和也の拳を、ヴェノム加頭はそう言いながら軽くかわし、

「フッ!!」

ズバァァァンッ!!

「ぐはっ!?」

カウンターでヒドラセーバーで斬りつけ、吹き飛ばす。

「「「「和也(弟君)!!」」」」

吹き飛ばされたムテキゲーマー和也に春美、ひかる、一輝、和輝の四人はそう言いながら駆け寄る。

「くっ……」

「!?」

(ダメージが思ってたよりも大きい……)

「ちょっとじっとしてて。応急処置だけど、回復させるから。」

エクリプス感染者の回復力でも追いつかない程のダメージと疲労を蓄積させていたムテキゲーマー和也に対し、春美はそう言いながら回復魔法をかけようとする。

「デェムシュさんに“力”を抜き取られた後とはいえ、『無敵』の名が泣きますね。」

「!?“力”を抜き取られたってどういうことだ?」

そんななか、ため息混じりにそう言うヴェノム加頭の言葉に反応した一輝は流氷五月時雨を構えながらそう尋ねる。

「彼は私にここまで吹き飛ばされる前にデェムシュさんの持つサウザンドジャッカーでムテキの“力”を抜き取られましてね。動きが鈍くなっているのもそれが原因の一つですね。」

「「「「!?」」」」

「まぁ、貴方方の相手も彩翔君から譲って貰いましたからどうぞ。五人全員でかかってきてください。」

「ッ……ふざけるな……」

「和也!?」

「てめぇも……奥で座ってやがる偽者野郎も……ソロモンも!俺がぶっ倒す!!」

ムテキゲーマー和也がデェムシュ進化体に“力”を抜き取られた経緯を軽く説明した後、そう言うヴェノム加頭に対し、ムテキゲーマー和也はそう言いながら、回復魔法をかけていた春美を押し退けながら一人で向かおうとする。

「バカ野郎!!」

ドカッ!!

「ぐっ!?」

「ちったぁ冷静になりやがれ!一人じゃ勝てねぇ相手だってことぐらい嫌でもわかることだろうが!!」

が、和輝がそう言いながら殴って止める。

「くっ……和輝……」

「和輝の言う通りだ。こいつらは一人で挑むのは無謀過ぎる……」

「和也、私達は今まで一人で戦ってきた訳じゃないでしょ?」

「私達は仮面ライダーじゃないけど、やってやりましょうよ!!」

「一輝、春美、ひかるさん……」

「ほら。弟君……」

一輝と春美と共にそう言った後、ひかるは回収したガシャコンキースラッシャーとレイを手渡す。

『和也さん……』

「レイ……さっきは悪かった……」

『いえ、謝る必要などありません。貴方の気持ちは私もよくわかります。』

「レイ……ッ……」

パンパン

「美しい姉弟愛や友情は十分育みましたか?」

そんななか、敢えて手を出さずにいたヴェノム加頭が拍手しながらそう話しかけてくる。

「ッ……」

「どうする?和也。いつもならひかるが『アンサートーカー』で読んだ情報を元にしながら戦ってるけど……」

「ごめん。多分、こいつにも私の『アンサートーカー』の結果は読まれると思う……」

そんなヴェノム加頭を睨み付けるムテキゲーマー和也に対し、春美とひかるはそう話しかける。

「読まれるんなら、更に読んで動くまでだ。この間、リサが言っていたことを皆、思い出せ!!」

「「「「!?」」」」

対するムテキゲーマー和也にそう言われた四人は以前、元いた自分達の世界で言われたことを思い出した。
3/11ページ
スキ