好奇心、猫をも殺す

「おい!あれって……」

「超もしかしなくても……」

「血!?」

「ちょっとフレンダ!!まさか、さっきの爆弾で」

「バカ言わないで!超電磁砲!!あれは破砕効果のない、衝撃のみに絞ったもの!結局、あのスーツを貫通して血が出る程の怪我なんて負わせられない訳よ!!」

佐天のアストレアG2のスーツの隙間から流れ出る赤い液体・・・血液を見て、浜面、絹旗、初春の三人がそう言うなか、そう言う美琴に対し、フレンダはそう言う。

「やはり、このシステムは使用者の身体に負荷を与えるか……」

「ベール!!今度は何をした!?」

そんななか、冷静にそう言うベールに対し、狩矢は睨み付けながらそう尋ねる。

「なに、トランザムシステムを作動させたのさ。」

「トランザムシステム?」

「本来は太陽炉の爆発的なエネルギーを利用して機体の出力を一時的に急上昇させるシステムなんだが、流石に太陽炉を小さく造って搭載するのは『学園都市』の技術でも難しいからな。だから、そいつの身体に注入したネビュラガスの成分を活性化させることで生み出される爆発的なエネルギーを利用して、アストレアG2の出力を急上昇させたのさ。まぁ、装着者に掛かる負荷は大きいみたいだがな。」

「!?てめぇ……!!」

「佐天!!今の話、聞いてた訳!?今すぐそのスーツを脱ぎ捨てる訳よ!!!」

「うぅ……」

楽しげにそう説明するベールに狩矢が睨み付けながらそう言うなか、フレンダはすぐさまそう佐天に呼びかける。

「ククク……戦え。佐天涙子……」

「ッ……はい。ベール様のお望みのままに……」

ドンッ!!

が、そう命ずるベールにそう答えながら、佐天はトランザムシステムで得たスピードで狩矢に右ストレートを放ってくる。

「くっ!!」

ドカァァァンッ!!

「クソがっ!!」

対する狩矢は紙一重でかわしながらネビュラスチームガンで銃撃しようとする。

ブシュ・・・ッ!!

「!?」

が、その瞬間、アストレアG2の隙間から流れ出る佐天の血を見て、狩矢は思わず躊躇ってしまう。

「フッ!!」

ズガガガガガガガガァンッ!!

「ぐっ!?」

対する佐天はトランスチームガンで八弾のエネルギー弾を食らわせてくる。

トランスチームガンもトランザムシステムによって出力が上がっているのか、ローグの防御力を貫通して狩矢にダメージを与える。

「ぐっ……!?」ガクッ!!

「村城!!」

トランザムした佐天の猛攻に狩矢は思わず片膝を着く。

「不様だなぁ。狩矢……結局、おまえはネビュラガスの影響で目の前で消えていく妹を救えなかった時と何も変わらない……子ども一人護れないくらい無力な男だったということか……ククク……」

「!?」

「?妹?」

『?』

「!?」

(まさか、この間、話していた、村城の妹の命を村ごと奪った事故って……)

「ククク……おまえら……俺やこいつが平行世界からきたって話は聞いているか……?」

ベールが言った『消えた妹』という単語に美琴達が首を傾げ、フレンダがそう反応するなか、ベールは狩矢の過去について、話し始める。

「元々、こいつは科学とは無縁な山奥にある小さな村で産まれ育った至って平凡なガキだった。村自体は裕福とは言わないが、貧しい訳でもなく、至って平穏に、それなりに幸せな生活を送っていた………」

「……黙れ……」

「そんなある日、何処からか流れ込んできた黒い煙がそれまでの日常を一気に崩壊させた。ある者は怪物に姿を変え、ある者は訳もわからないまま、悲鳴を上げながら消えていった……」

「……黙れ……っ!!」

「そいつの両親はそいつと妹の目の前で怪物、スマッシュに姿を変えた。そんな両親からそいつと一緒に命からがら逃げ出したそいつの妹もそいつの腕の中で」

「黙れえぇえぇぇえええぇええぇえぇぇえええぇええぇぇぇえええええぇええぇぇぇええぇええぇええぇぇぇええぇぇっ!!!」

カアアアァァァッ!!

『!?』

その瞬間、狩矢はそう叫びながら、複眼の青い輝きを強くし、紫のオーラを纏いながら立ち上がる。

「ククク……イイぞ……」

「ッ!!」

ズドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

そんな狩矢を見て、ベールが不敵な笑みを浮かべながらそう言うなか、佐天はトランスチームガンから十数弾のエネルギー弾を放つ。

「フッ!!」

「!?」

『!?』

が、狩矢は先程とは打って変わって、トランザムした佐天以上のスピードで佐天が放ったエネルギー弾を全てかわしながら肉簿し、

「はぁっ!!」

ドカァァァンッ!!

先程よりも明らかに上がったパワーで思いきり殴り飛ばす。

「くっ!?」

「うおおおぉぉぉーーーっ!!」

「!?」

ドカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ!!

その後、今度は狩矢が佐天を圧倒し始めた。
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