好奇心、猫をも殺す

柵川中学、教室・・・

「ふぅ……間に合った……」

「ゼェ……ゼェ……さ、佐天さんは……平気……なんですか……?」

その後、ギリギリで教室に滑り込むことに成功した後、息を切らした様子もない佐天に対し、完全に息が切れきれの初春はそう尋ねる。

「ん?ん~、ちょっと疲れたって程度かな。」

「そ、そうですか……」

「おー、ルイコ!初春!」

「おはよー♪」

「ギリギリだったねぇ~。」

「おー、おっはよう♪皆♪」

(おかしい……なんかおかしい……)

「おーし、おまえらー。席に着け。HRを始めるぞぉー。」

自分の身に起きている変化に全く気付いていないのか、普通に友達を挨拶を交わす佐天に初春が怪しむなか、担任がそう言いながら教室に入ってきた。

その後、時は進んで五時間目の理科の時間、担当教師が余談として高校物理について、説明しながら公式を書いていく。

「ーーーという訳で自由落下による力学的エネルギー保存の法則はH点で『UH+KH=0+mgh=mgh』。P点では自由落下運動の時間を含まない式『vの2乗=2gy』からyが『h-y』となる。代入して『vの2乗=2g(h-y)』となる。そこから『U+K=1/2mvの2乗+mg』となって」

「先生、『U+K=1/2mvの2乗+mgy』です。そこから『1/2m×2g(h-y)+mgy』となり、展開すると『mgh-mgy+mgy』となって『mgh』となります。

O点では自由落下運動の時間を含まない式『vの2乗=2gy』においてvがvO、yがhとなって『vOの2乗=2gh』となります。これにより『UO+KO=1/2mvOの2乗+0』となり、展開して『1/2m×2gh=mgh』と求められます。

このことから自由落下運動の各点において、力学的エネルギーは『mgh』で一定となります。」

「………………せ、正解だ………………よ、よく知ってるな……」

ざわざわ・・・ざわざわ・・・

今までやったことのない力学的エネルギー保存の法則の公式を解いてみせた佐天に担当教師が唖然としながらそう言うなか、教室の中がざわつき始めた。

「………」
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