24.かけがえのないもの
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半助さんが泣いている。
その光景に、胸が締め付けられる。
同時に彼の心を、私の愛でいっぱいに満たしてあげたいと強く思ってしまった。
「半助さん」
声に出してみると絞ったような枯れた声だった。
「突然いなくなってごめんなさい…悲しい思いをさせてごめんなさい……私…」
「私も、詩織さんの気持ちに気付かなくてすみません」
お互いに抱きしめ合いながらそんなことを言い合う。
彼の腕の温もりに包まれると、私の胸の中にあった不安がそっと溶けていく気がした。
彼の声、彼の鼓動――それらすべてが、私をこの世で一番安心できる場所へと導いてくれるようだった。
「詩織さん」
一段と熱い眼差しの彼がそこにいた。
「ずっと伝えたかったことがあります」と彼は前置きすると、一瞬だけ口を閉じ、深く息を吸い込んだ。
その瞳は揺れもせず、ただまっすぐに私を見つめていた。
「私の…生涯の伴侶になってくれませんか」
新年な口調と眼差しの彼に胸がときめく。
重なった手のひらから伝わる彼の熱が、ゆっくりと脈に伝わり身体をかけめぐる。
ずっと夢見ていた。
半助さんにそう言われる日を。
一緒に歩む未来を。
「……よろこんで、お受けします」
彼の両手が優しく抱きしめる。
愛おしい気持ちが沸ゝと湧き上がる。
もう、いつかを気にしなくて良いのだと。
「……もう、私の前から…いなくならないでください…もう、これ以上、私は家族を失いたくない」
涙声で言う彼の言葉に、私も気付けば涙が頬を伝っていた。
涙を拭いながら、彼と指を絡めた手をそっと見つめる。
この温もりが、これからも私たちを繋いでいく。そんな予感がした。
「私も同じ気持ちです」
私に眼差しを向ける半助さんは、涙を浮かべた笑顔だった。
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