10.それはまるで
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どのくらいそうしていただろう。
遠くから足音が聞こえ、私は抱き寄せていた腕を話した。
自然と視線が交わる。
視線を離すのが名残惜しい。
「もし、不安なことがあったら・・・いや、なんでも私に話してください」
「はい…ありがとうございます」
雪下さんの柔らかい微笑みに、私まで頬が緩んだ。
「やっぱり、先生とこうしてお話してるときの方がほっとします」
雪下さんの言葉に私も頷く。
「そうですね。私もそう思います」
わだかまりが溶けていくように、私たちの間にあった壁のようなものが消えていくのを感じていた。
この気持ちを抑えることも、無視することもできないのだと、強く思った。
足音がだんだん近づいてくる。
「雪下くん!そこにおったのか」
現れたのは学園長だった。
「ちょっとすまんが、杭瀬村の大木雅之助のとこまでこの手紙を届けに行ってくれんかのう?」
「大木雅之助、さんですか?」
きょとんとする雪下さんに、大木先生のことを簡単に説明した。
「学園長、急ぎなら私が向かいますよ?」
「いや雪下くんに行ってもらいたいんじゃ!そうか!土井先生も行ってくださるか!では二人に任したぞ!暗くなる前に行くのじゃよ!」
意気揚々と手紙を雪下さんに手渡し、スキップして元来た道を戻っていく学園長の背中を眺めながら、静かにため息をついた。
なにか企んでいるな、と悪い予感が過ぎる。
「土井先生、一緒についてきて頂けますか?」
困った表情を投げかける雪下さんに、首を縦に振る。
「ええ、もちろんです。遅くなる前に出発しましょうか」
自然と重なった視線に、ふっと笑みがこぼれた。
ああ、
私はこの眼差しに心を奪われたのだなと実感するのだった。
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