空蝉
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一人で忍術学園に戻った私を、学園長が庵に招いた。
「そうか。戻りおったか」
「ええ」
「お主はどうじゃ?」
「どう、とは?」
「いやいいんじゃ」
鋭い視線を隠し学園長は言葉を塞いだ。私が彼女に抱いていた感情を、学園長が感じ取っているのだと少しだけ把握していた。とはいえ、私がどんな感情を抱いていようと、私は彼女と結ばれる運命ではないのだ。彼女はいくらでも私の嘘を信じる。結局最後まで嘘を信じていなくなった。きっとこれは私への罰だ。
「戻ったか、半助」
「詩織さんは元の世界に帰られました」
自室に戻ると、山田先生が視線を向けてきた。彼の言いたいことは直ぐに分かってしまう。学園長とは違い、ただ筆を走らせる。無言の圧が自然と私の口を開かせた。
「これで良かったんです」
「なにがだ?」
「彼女はこの世界の人間ではないんですから、ここへ引き留めておく理由がありません」
「それはそうかもしれんが」
▢ ▢ ▢
詩織さんが元の世界に戻って一週間が過ぎた頃、利吉くんが忍術学園に訪れた。午後の事務作業を自室でしていると、彼が部屋に入る。
「土井先生はそれで良かったんですか?」
「ん?」
「その表情は……先生、本気だったんですね」
「ふっ……利吉くん、なにを戯言を」
苦し紛れにそう返す。
「土井先生〜、お手紙です」
小松田くんがやってきた。手紙を受け取り中を開く。いつもの果たし状と書かれた手紙だった。軽くため息をつく。ここ最近は決闘を挑んでくることが少なくなったと思っていたのだが。やれやれ。忍具を構える彼を思い浮かべ笑みが零れる。
彼が挑んでくるのはとても傍迷惑なのだが、内心楽しんでいる私もいる。彼の成長を望んでいる。不要な争いはいらないが、強くなろうとする彼には好意が持てるのだ。
「ふぅ、やれやれ」
記された決闘場所は、以前彼女を抱いたススキ野原だった。
いつものように彼の攻撃を躱すけれど、運悪く彼に投げ飛ばされた私は崖から落ちてしまった。川に着水する直前に月が目の前に迫り、視界を暗転させた。
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