日々の僕たち

「クッソ! 寒いなー」
 コートのフードを被ってみるけど大して変わらない。袋の中の中華饅頭も冷めてしまって、もう食べる気にもならないけど、勿体ないから口に運ぶ。
 
 あいつら、今頃なにをしてんのかな。

 周りをマンションに囲まれた小さな公園。真ん中に建つジャングルジムのてっぺんを一人陣取り、昔の事に思いを馳せる。

 あの頃は良かったな····

 親しい三人で、よくここに集まった。そして下らない事から将来の夢まで語り合ったんだ。同じ大学を目指す約束をしたのもここだった。しかし、俺がまさかの不合格。本命一校に絞っていたので、そのまま浪人生になると言うね。

 合格した二人とは、暫くの間は連絡を取り合っていたけどさ、そのうち疎遠になって今はなにをしているやら。
 まぁ、就職する事にした俺には関係無いけどね。

 饅頭がもう無い。そろそろ帰るか。

 俺はなにを期待してたんだ? ジャングルジムから降りて、ゴミ箱に袋を捨てると公園の出入口に二人の人影が見えた。

 ドクン! 心臓が跳ね上がる。

 目を凝らして見ると、知らない二人だった。高校生くらいかな? この寒い中何をしに来たんだろう、物好きだなぁ。

 目で追って見ると、ジャングルジムを登って行く。てっぺんに陣取ると何やら楽しそうに話し始めた。

 仲のよろしい事で。

 公園から出て、後ろを振り返るとジャングルジムの二人の姿は消えていた。どこへ行ったんだ? 俺には関係無い事か。早く家に帰って暖まろう。




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