日々の僕たち


 帰りのホームルームが終わり、教室がドッと湧く。今日はどうしようかな? 寄り道せずに真っ直ぐ帰るか。そうと決まれば話は早い、教室を出て廊下を歩いていると、少し先を女子生徒が歩いている。なんか後を付けているようで嫌だな〜少し早歩きで女子生徒を追い抜く。
 
 ふーっ、なんとか追い抜いたけど無駄なエネルギーを使ってしまった。そう言えば本を持っていたけど図書室は逆方向だぞ? どこへ行くんだろう。まぁ、俺には関係ないか。

 翌日。帰りのホームルームが終わり、教室がドッと湧く。今日も寄り道せずに真っ直ぐ帰ろう。教室から廊下に出ると、少し先を昨日の女子生徒が歩いている。手元を見ると本を持っていて、やっぱり図書室とは逆方向だ。今日はどうする? 追い抜くか、それとも少し後を付けてみるか? そんな事を考えながら歩いていると階段へたどり着いた。女子生徒は屋上への階段を上がって行く。俺は下校するから階段を下っていく。なるほど彼女は屋上で読書をするのか、どんな本を読むんだろう? 開放的な屋上で読みたくなる本ねぇ····ハハッ想像もつかないや。でも気になるぞ!

 翌日。帰りのホームルームが終わり、教室がドッと湧く。今日は少し教室へ留まって時間を稼ぐ事にする。それにしても賑やかだな、何がそんなに楽しいんだろう? さて、そろそろ行くか。

 騒がしい教室を出て屋上へと向かう。

 屋上の扉を少しだけ開いて様子を伺うと、彼女がいた! ベンチに腰掛けて本を読んでいる。さてと、確認をしたので今日は帰るか、そうだ! 帰りに本屋へ行ってみよう。

 翌日。帰りのホームルームが終わり、教室がドッと湧く。今日の俺はいつもと違うぜ? 昨日、本屋で買った本を持っている。こいつを天気の良い屋上で読む 気分はどんなだろう? 教室の窓から外を見る。雨がザーザー降っている····

 俺はどうすればいいんだ? このまま おめおめと帰れない! 仕方が無い図書室で本を読むか。一人でね。

 と、言う訳で図書室に到着。

 室内に入ると意外と混んでいる。それでも皆んな静かに読書中。聞こえる音といえば本のページをめくる音とエアコンの作動音。静かに扉を閉めて空いている席を探す。おっ、空席発見! 静かに席に着きカバンから本を取り出す。隣の生徒に挨拶をしようとしたら彼女だった。    
 これはチャンスだ「隣いいですか?」
「どうぞ」彼女は静かに答える。目は本のページに落としたままだ。素っ気無いな。いや、待て! 俺はナンパをしに来た訳じゃ無い。大人しく本を読んでいよう。

 机の上に本を置くと隣から「その本」彼女が囁く。なんだと思って彼女の方を見ると、彼女は本のページを閉じ、表紙を俺に見せた。なんと俺と同じ本だ!これは偶然か、あるいは運命なのか? 彼女は小さな声で「いつもは屋上で読んでるの」知っている「明日晴れたら一緒にどう?」まさかの逆ナンパ! いや、そんな不純な動機じゃないはずだ。俺は紳士的に「喜んで」静かに答えた。彼女は頷いて読書に戻った。

 翌日。帰りのホームルームが終わり、教室がドッと湧く。さて、屋上へ向かうか。その時、俺を呼ぶ声が。ふと見ると彼女がいた「迎えに来てくれたの?」俺が聞くと「だって待ちきれなかったから。 さあ行きましょう」彼女は軽く微笑んで答えた。




94/127ページ
スキ