日々の僕たち
俺の趣味は何だって? 強いて挙げればアルバイトかな。でもさ通っている高校はバイト禁止なんだよな、だから短期のバイトを選んで働いている。学校にバレた頃には次の仕事って具合だ。生活指導の先生に呼び出されても、しらを切る。今までは、その手で切り抜けて来たんだけどさ、同じ手が何度も通用する訳も無く。俺は停学かボランティア活動の二者択一を迫られた。停学はマズイよな、そもそも俺がバイトを続けていた理由は、将来の適職を見つけるため。遊ぶ金が欲しいとか、そう言う理由じゃあ無い。内申書に停学なんて書かれたら、就職する時問題にならないか?
そんな訳でボランティア活動に勤しむ事になったんだけどさ、よりによって市立図書館の手伝い。俺、読書は苦手なんだよな……えっ、お前が読む訳では無いだろうって? それがさ、司書さん曰く「利用者に質問された時、何も知らないと困るでしょ」それは〜まぁ、そうだけど「よく読まれている本をリストアップして置いたから、お手伝いの合い間に読んでね」と言う訳だ。
この俺が読書。参ったなぁ〜
取り敢えず、本のタイトルと作者名は頭に入れて置かないと。幸い記憶力は確かだ、これだけは誰にも負けない自身が有るぜ! 問題は本の中身だよな。これはネットであらすじを調べて覚えて置けばいいか、よっし! 頑張るぞ!
そんなこんなで図書館での日々は過ぎて、俺の本に対する抵抗感も薄れて行った
最近は利用者がどんな本を読むのか興味津々。意外なチョイスに驚く事もしばしばでって、これ以上は勘弁な。守秘義務違反になっちまう。それよりも聞いて驚け、この俺が本を読む様になった! 始めは気になる実用書のページをペラペラとめくる程度だったけどさ、今ではガッツリと読んでいる。ジャンルも多岐にわたり、本を通じて未知の世界や様々な人生観に触れているんだ。もし、読書の楽しさを知らずに大人になったら、薄っぺらい人生を送る事になると思う。大げさだって? そんな事はないさ。
ボランティア期間はとっくに終わっているけど、司書さんに頼み込んで週末は図書館の手伝いをしている。平日の放課後は図書館で読書だ。
俺の将来は本屋の店員で決まりだな。
終