日々の僕たち


 私にはライバルが居るけど正しくは嫌な女だ。彼女はクラスで孤立していて、嫌味それに陰口の恰好の的になっている。彼女はそれらの罵詈雑言を放った相手に言い返す事はなく、ただ沈黙しているだけ。唯一の例外は私。席が隣りで同じ部活それに名前は1文字違いの私
 その私に対して彼女は日頃溜め込んでいる怒りと憎しみをぶつけて気晴らしをしている。問題はその方法だ。すれ違いざまに肘打ち、スカートの上からツネるそして2人きりになれる所まで静かに付いて来て物陰に私を追い詰めての恨み節。私は彼女に何もしていないのに、なぜこんな目に遭うのだろう。先生に相談する事も考えたけど、陰険で執念深い彼女の報復を想像すると恐ろしくて誰にも言えない····でも、そんな2人の関係に転機が訪れた
 彼女の両親が交通事故に遭って亡くなった。そして彼女も学校を退学する事に。人の不幸を喜ぶのは不謹慎だけど、これで私は理不尽な境遇から抜け出せる。彼女が去る日、クラスの皆んなで用意した花束を先生が彼女に贈った。赤、黄そしてオレンジ色の花々は如何にも元気が出そうだ。そして寄せ書きの色紙はクラス委員長から彼女の元へ。拍手に包まれた教室の中で独り俯向く彼女は何を思うのか。
 そんな事はもう関係無い。クラスの皆んなも私にもね。

 その日の夕方、駅のホームで帰りの電車を待っていると背後に人の気配がした。

 振り返ると彼女だった

 私は勢いよく突き飛ばされてホームから転落

 そこへ電車が進入して来た。

 

 
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