日々の僕たち
「よっし! 終わったぞ」
机の上に散らばる各教科の宿題をチェックしながらまとめる
記入漏れはないか、誤回答はないか
一教科毎に丹念にチェックする。
せっかく冬休みの宿題を速攻で片付けても、穴だらけではシャレにならない
「う〜ん····」
とりあえず問題は無さそうだけど
万が一の事も有り得るからな
後でもう一度チェックしようか
まぁ、少しくらいは誤りが有っても許してもらえるけどさ。せっかく頑張ったんだし完璧を目指そうって、な〜に柄でも無い事を! こんな物でいいんじゃないの?
第一、誰がやったと思っているんだよ
俺だよ? 期末テストの成績は下から数えた方が早いこの俺だよ「ハッハッハ!」高らかに笑う
さーてと、終わったらエネルギー補給しとかないとね
机の端に置いてあるエナジードリンクのボトル缶に手を伸ばす「プシッ! カラカラカラ」キャップを開けると、シュワシュワと炭酸の抜ける音が聞こえ独特の甘い香りが鼻を刺激する
「では早速。ゴク、ゴク、ゴク」喉を鳴らしながら飲む「プハーッ! たまんねーな、おい!」この瞬間のために宿題が終わるまでの五日間、エナジードリンク断ちをしてたんだ。もう最高の気分だぜ! なんてな。
「さーてと午後は何をして過ごそうか」スマホを手に取りSNSのチャットルームをザザッと見ると、一つ盛り上がっているルームが有った『定年爺さんの呟き』去年まで俺の通う高校で事務職に就いていた通称オジサンのルームだ
少し聞いてみるか「ポチッと」
なになに、ふむふむ、おおっ!
そうか〜オジサン、高校に戻って来るのか。それにしても新設される書道部の顧問とは恐れ入った、オジサンの書く字は綺麗で整っていたからな。でもなんで書道部なんだろう? 硬筆部の方が適任じゃないのかね〜、余計なお世話かな
でも書道の心得が有るなんて聞いた事ないぞ····少し検索してみるか。
えっとオジサンの本名はっと。ああ、
そうだったポチポチそして書道っとハイ検索開始ポチッと。お、おおっ! なんと、オジサンはその筋では有名な書家だったのか。どんな字を書くんだろう? 画像検索ポチッ! す、凄いぞなんて流麗な文字なんだ····こっちのは達筆過ぎて俺には読めない。ん? 解説文か『こちらの書はTVドラマで使用されました』
なんてこった! もう気安くオジサンなんて呼べないよ〜。いや、それ以前に来年からは先生だ、校内で会ったら「おはようございます!」だよなっ!
「ふーっ」
人は見かけによらないな。
終