日々の僕たち

 「アチィ〜」
 下校の時間帯は一番暑いと思う
 俺は水筒の水を飲んだ
 「ぬるい〜」
 家を出る時はキンキンに冷えたスポーツドリンクが入っていたのだけど
 登校中に全部飲んだから
 今水筒に入っているのは学校で汲んだ水道水。

 「それにしても」
 「こんなに暑い時に下校しなくても良いだろうに」
 「先生達は何を考えているんだ」
 「お前はどう思う」
 並んで歩く親友に聞いてみる。

 「一ついいか」
 親友が答える。

 「なんだよ」
 察しは付くけど一応聞いてみる。

 「コレ以上暑いと言わないでくれ」
 「君が暑いと言う度に気温がドンドン上がるような気がする」
 親友は天を仰ぐ。

 恨めしそうな顔で。

 「おいおい、俺のせいだとでも言うのかよ」
 「大体さ、夏休みが終わったのに」
 「なんで夏は終らないんだよ」
 そうだ
 どう考えてもこれはオカシイ。

 「気象庁にでも聞いてくれ」
 親友は言い放つ。

 「気象庁か」 
 でも、どうやって聞くのだろう
 まあ、いいか
 この話はここで終わりだ。

 ところで。

 「夏休みの宿題は一緒に片付けたよな」
 そうだ一人より二人のほうが効率よく進むだろうと、お互いの家に集まっては膨大な量の宿題に立ち向かい
 終わらせた。

 「ソレがどうかしたの」
 親友は何をいまさらと言う顔をしている。

 「自由課題も一緒にやったよな」
 一緒と言う事は課題のテーマも。

 「しまった! 二人揃って同じテーマだよ」
 親友が珍しく慌てている。

 「どうする?」 
 今からではどうしようも無いけど
 俺はそう思う。

 「うーん」
 「そうだ、先生に尋ねられたらさ」
 「二人で協力して取り組みました」
 「そういうコトにすればいい」
 親友の顔がパッと明るくなる。

 「ソレしかないかぁ」
 俺たちの仲がいいのは先生も知っている
 でも、それとこれは話が別だ
 仮に認められたとしても評価点が低くなるのは覚悟しておこう。

 この話もココで終わりかな。

 次の問題は。

 家に帰って何をするかだ
 コレが一番重要じゃねーのか
 最近では発売されたばかりのロボットアクションゲームに揃ってハマっている
 始めは俺がロボットアクション
 親友が錬金術師のゲームを買って、それぞれゲームクリアしたら
 互いに貸し合う事になってたけど
 負けず嫌いの親友が両方買ったので
 家に帰っては対戦の日々を過ごしている。

 「今日はどちらの家にする?」
 さっそく親友が聞いて来る。

 「昨日は俺の家だったから」
 「今日はお前の家かな」
 順番通りと言った所だけど、俺にはもう一つの目的が有る
 それは親友の妹だ
 アイツは何かと世話を焼いて来る鬱陶しい妹だと言うけどさ
 一体どこが悪いんだ?
 俺のぐうたら姉ちゃんは、アレしろコレしろと俺をこき使うばかり。

 それと親友の妹はカワイイ。

 ついでに以前、着替えている所を偶然見た事が有るけどさ
 なかなか良い身体をしている。

 彼女は将来美人になるぞ。

 え、お前もしかして親友の妹が好きなのかって?

 好きだよ。

 出来れば結婚を前提にお付き合いしたい
 何かオカシイか?

 とにかく今日は親友の家だ
 そして俺は妹さんに会う。

 ところが親友曰く。

 「悪いね、今日も君の家で」
 「最近さ、妹の様子がオカシイんだ」
 「やたらと君の事を聞いて来る」
 「下らない事からプライバシーに関わる事まで」
 「もし君を不愉快にさせる様な事が有ったら」
 「僕の面目丸つぶれだよ」

 オイオイ! それってもしかして
 いや、もしかしなくても絶対だ。

 「俺は構わないぜ」
 「お前のメンツをつぶす様な事になったら」
 「俺がビシッと注意してやる」
 出来ればそう有って欲しくは無いが
 やはり親友の方が大切だからな。

 「まあ、君がそう言うのならば」
 「今日は僕の家で」
 
 やったぜ! 友よゴメンな
 邪まな男で。
 
 
 

 終
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