日々の僕たち
ねぇ〜
もう少しゆっくりぃ〜
少し後ろからアイツの声が聞こえる
コレでもゆっくり歩いているのだけどな。
「もうすぐ着くから! ガンバレ」
アイツを励ますが、返って来たのは。
「キミと違ってボクはインドア派なんだ」
「それに暑いしね」
そんな事は承知の上だ、それでも海へ行きたいと言ったのはアイツだ。
「少し休もう?」
アイツは道端の木陰に入り
水筒の水を飲んでいる。
この炎天下、オレも休んだほうが
いいかも知れない
「隣りいいか?」
切り株に座るアイツに尋ねる。
「どぞどぞ〜」
アイツはいつもの調子で答えた
元気回復したようだ
オレは背負っていたリュックを降ろして、中からペットボトルを取り出す
すでに温くなっているけど
関係ないね
これが真夏の醍醐味ってもんだ!
オレは生唾を飲み込み
キャップを開けて一気にスポーツドリンクを飲み干す
「グビッ、グビッ、グビッ」
「プハーッ」
「うまーい!」
チョンチョン。
オレの背中に何かが当たる
隣りを見るとアイツがオレの背中を突いている
「なんだ? どうかしたのか」
「水分補給は少しずつ小まめにね」
アイツが水筒をナップサックにしまいながら言った。
「そうなのか?」
オレは一気飲みのほうが美味いと思うぞ
何より、のど越しがたまらない。
「保健の授業で習わなかったのかな」
アイツが真剣な目でオレを見つめて言った。
何だろう
オレは何かを試されているような気がした
でも、何を試されているんだか判ら無い。
とりあえず。
「悪い、次からは気を付けるよ」
こんなトコロでどうだろうか
「ホントだよ、もしキミに何か有ったら」
「ボクでは助けられない」
大げさな事を言うなぁ
「大丈夫だよ、スマホが有るだろ」
「この辺り圏外」
「ウソ! マジで?」
アイツの一言で慌ててスマホを手に取り確認する。
「確かに圏外だな」
もし、何か遭っても助けを呼べ無い
ここからでも先は慎重に進んだ方が良さそうだ。
そうと決まれば。
「ここから先は少しペースダウンしよう」
アイツに伝えると、切り株から立ち上がり
軽く伸びをしてリュックを背負った。
「さ、行くぞ」
アイツの隣りに付いて、スローペースで歩き始めた。
「ね、手を繋いでもいいかな」
ハイー?
いくら幼馴染みとは言え、多感な年頃の女子
安易に手なんか繋いでもいいのか?
でも、アイツから言い出したんだ
夏は女をダイタンにすると言うけど
まさか本当だったとは!
「ボク達の他に誰もいないよ?」
「そ、そうだな」
オレが答えると、アイツのほうから手を繋いできた。
なんですとー!
隣りのアイツを見ると、少しうつむいている
顔はよく見えないけど、繋いだ手からはアイツの鼓動が伝わって来る。
オレも覚悟を決めた。
手を強く握り返して
「なぁ、オレ達」
「今日から付き合わないか?」
アイツは「ふふふっ」と微笑むと
「ボクとキミはいつも一緒だった」
「それは、これからも変わらないよ」
おっけーなのかな
うん、おっけーだよな!
「いつまでも大切にするよ」
オマエのことを
今日の思いを。
アイツは一言
「ありがとう」
オレは気持ちが弾んできた
アイツも同じようだ
繋いだ手から伝わって来る。
しばらく歩くと海が見えてきた。
「うわあ~キレイな海!」
アイツが歓喜の声を上げる。
「地元の人しか知らない穴場なんだ」
砂浜には数えるほどしか人がいない
「こんな所よく知ってるね」
「昨日PCで調べまくったんだぜ」
「さ、早く行こう!」
「うん!」
二人の夏が始まる。
終
もう少しゆっくりぃ〜
少し後ろからアイツの声が聞こえる
コレでもゆっくり歩いているのだけどな。
「もうすぐ着くから! ガンバレ」
アイツを励ますが、返って来たのは。
「キミと違ってボクはインドア派なんだ」
「それに暑いしね」
そんな事は承知の上だ、それでも海へ行きたいと言ったのはアイツだ。
「少し休もう?」
アイツは道端の木陰に入り
水筒の水を飲んでいる。
この炎天下、オレも休んだほうが
いいかも知れない
「隣りいいか?」
切り株に座るアイツに尋ねる。
「どぞどぞ〜」
アイツはいつもの調子で答えた
元気回復したようだ
オレは背負っていたリュックを降ろして、中からペットボトルを取り出す
すでに温くなっているけど
関係ないね
これが真夏の醍醐味ってもんだ!
オレは生唾を飲み込み
キャップを開けて一気にスポーツドリンクを飲み干す
「グビッ、グビッ、グビッ」
「プハーッ」
「うまーい!」
チョンチョン。
オレの背中に何かが当たる
隣りを見るとアイツがオレの背中を突いている
「なんだ? どうかしたのか」
「水分補給は少しずつ小まめにね」
アイツが水筒をナップサックにしまいながら言った。
「そうなのか?」
オレは一気飲みのほうが美味いと思うぞ
何より、のど越しがたまらない。
「保健の授業で習わなかったのかな」
アイツが真剣な目でオレを見つめて言った。
何だろう
オレは何かを試されているような気がした
でも、何を試されているんだか判ら無い。
とりあえず。
「悪い、次からは気を付けるよ」
こんなトコロでどうだろうか
「ホントだよ、もしキミに何か有ったら」
「ボクでは助けられない」
大げさな事を言うなぁ
「大丈夫だよ、スマホが有るだろ」
「この辺り圏外」
「ウソ! マジで?」
アイツの一言で慌ててスマホを手に取り確認する。
「確かに圏外だな」
もし、何か遭っても助けを呼べ無い
ここからでも先は慎重に進んだ方が良さそうだ。
そうと決まれば。
「ここから先は少しペースダウンしよう」
アイツに伝えると、切り株から立ち上がり
軽く伸びをしてリュックを背負った。
「さ、行くぞ」
アイツの隣りに付いて、スローペースで歩き始めた。
「ね、手を繋いでもいいかな」
ハイー?
いくら幼馴染みとは言え、多感な年頃の女子
安易に手なんか繋いでもいいのか?
でも、アイツから言い出したんだ
夏は女をダイタンにすると言うけど
まさか本当だったとは!
「ボク達の他に誰もいないよ?」
「そ、そうだな」
オレが答えると、アイツのほうから手を繋いできた。
なんですとー!
隣りのアイツを見ると、少しうつむいている
顔はよく見えないけど、繋いだ手からはアイツの鼓動が伝わって来る。
オレも覚悟を決めた。
手を強く握り返して
「なぁ、オレ達」
「今日から付き合わないか?」
アイツは「ふふふっ」と微笑むと
「ボクとキミはいつも一緒だった」
「それは、これからも変わらないよ」
おっけーなのかな
うん、おっけーだよな!
「いつまでも大切にするよ」
オマエのことを
今日の思いを。
アイツは一言
「ありがとう」
オレは気持ちが弾んできた
アイツも同じようだ
繋いだ手から伝わって来る。
しばらく歩くと海が見えてきた。
「うわあ~キレイな海!」
アイツが歓喜の声を上げる。
「地元の人しか知らない穴場なんだ」
砂浜には数えるほどしか人がいない
「こんな所よく知ってるね」
「昨日PCで調べまくったんだぜ」
「さ、早く行こう!」
「うん!」
二人の夏が始まる。
終