日々の僕たち

 僕は親友とケンカをしてしまった
 もちろん 殴り合いなんて野蛮なモノではなくて
 単なる口ゲンカなんだけどさ。

 ケンカの理由は何だったのか
 正直なところ ハッキリしない。

 とにかく。

 彼はもう三日間 口を聞いてくれない
 一人で下校するなんて 何年ぶりだろう
 いつも二人一緒だったからね。

 そして。

 どうして空はこんなに青いんだろう
 僕と彼は危機的状況だというのに
 何事もなかったかのような青空だ。

 当たり前か。

 この空は僕だけのモノじゃない
 どこまでも高く続く青空を見ていると涙が流れそうになるけれど
 グッと我慢だ。

 思うに、この空の下
 いつもと変わらない日々を送っている人もいるんだろうな。

 それにしても。

 なぜ彼はだんまりを続けているのか
 僕に原因があるとでも言うのかな。

 だったらさ。

 僕が謝れば許してくれるのかな。

 でも謝って許してもらう事に不安がある
 今まで僕と彼は対等な間柄だったけど、謝る事によってこのバランスが崩れたら
 もし、そうなったら友達でいる意味は無いと思う。

 実際に謝る事によって、相手の顔色ばかり伺っているクラスメイトを何人も見てきた。

 そうなったら、もうお終いだ。

 とにかく、もう彼の事は忘れた方がいいかも
 付き合いが長かった分、未練が残るけどね。

 そうと決めたら早い方がいい。

 僕は道端に寄りスマホを取り出す
 SNS を開いて
 彼とのトーク画面に
 「今までありがとう、さようなら」
 別れのメッセージを打ち込む。

 送信すれば終わりだ。

 指が震える。

 ここまで彼に追い込まれていて、僕は何を迷っているんだろう。

 大きく深呼吸をして
 送信のアイコンをタップした。

 僕のメッセージが送信され、トーク画面に表示される
 二分ほどで既読が付いた
 それから十分ほど待ってみたけど特にメッセージは送られてこない。

 僕は彼をブロックして、フェイスアイコンを削除した。

 終わった。

 SNS を閉じてスマホをしまう。

 大丈夫、僕は一人でも上手くやっていけるさ
 自分に言い聞かせてみるけど
 本当にこれで良かったのか? もっと ベストな方法があったんじゃないか? 色々な思いが頭を巡る。

 でも、もう遅い
 僕の決断が正しかった事を祈るしかない。


 翌日。

 登校して教室に入ると
 クラスメイトの様子がおかしい
 何か、よそよそしいと言うか。

 おそらく彼がクラスメイトに昨日の事を風潮して回ったのだろう
 あるいは昨日までの僕との付き合いで、何らかの不満が有ったのか
 その辺りを言いふらしたのかも。

 今も彼は僕の方をチラッと見ながら クラスメイトと談笑している
 なんてつまらない事を。

 別にいいさ 君の好きにすればいい
 僕は縁を切って正解だったと思うよ。



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