日々の僕たち
自室のベッドの上で仰向けに寝て目を閉じる。
さあ 困ったぞ
来月に入ればもう夏休みだ
暑い中の部活動に
山のような宿題
そして。
高校最後の夏休み!
彼女欲しい、彼女欲しい、彼女欲しい、彼女欲しい!
ボッチは嫌だー!
友達はいるけど全員男、これじゃあダメなんだよ。
一年生の時から、
「ま、彼女くらいその内出来るだろ」と、自分磨きを怠った結果がこれだ····
勉強と部活に忙しかったって言う理由もあるけどね、ダラダラと 流されるままに と言うところが無きにしもあらず。
これじゃあダメなんだよ。
できる男は勉強と部活に真っ正面から向き合って
汗を流して真面目に努力しているんだ。
それを遠くで見つめる女子が
「ステキ!」と、惚れ込んで
徐々に互いの距離が近くなり
どちらともなく告白へ。
くう〜っ、俺が入学した時は 誰もこんなこと教えてくれなかったぞ。
もしかして俺をライバル視するヤツの仕業か?
争う 相手が少なくなれば、それだけ自分が有利になる
なんて小賢しい 真似を!
いやいや、ちょっと待て。
そもそも 俺のライバルって誰だろう
うーん、思いつくヤツはいない。
そう言うことは あれか? 自分自身がライバルってやつ
それならば納得はいく。
そして、
なぜ今まで自分磨きを怠ったのかと言うところに戻る。
「うわあ~!」
「あんた! うるさいよ、何いきなり 騒いでるんだい」
母さんからの抗議の声が聞こえた。
「な、何でもないよ」
なんかハズいぞ。
「何でもないんだったら夕飯の手伝いでもしておくれ」
面倒だなあ
いや、待てよ
これも自分磨きの一環なのではないだろうか?
料理上手の男性、コレはイケるぞ。
「判ったよ、すぐに行く」
ベッドから起き上がり、鏡の前で 身だしなみを整える。
さ、いっちょやったるか!
意気込んで台所に着くと、母さんからの指示
「料理を皿に盛るから、それを居間へ持って行っておくれ」
「それだけ? 料理は作らなくていいの?」
いきなり ヤル気を削がれた。
「あんた何か作れるのかい」
母さんが聞いてくる。
「特に作れないけど今から少しずつ覚えていけばさ」
そう、自分磨きは始まったばかりだ。
「それだったら、そこに本があるから 自分で勉強しておくれ」
母さんが指さす先には料理の本が何冊かあった。
ここでも勉強なのか。
「ほら 出来上がったよ、早く持って行って」
皿の上には 麻婆茄子が。
「それが終わったらすぐに戻ってくるんだよ、次があるからね」
母さんは気合が入っている。
まぁ、いきなり料理は ハードルが高かったか
まずは出来るところからコツコツとやろう。
麻婆茄子の皿を取り、居間へ運ぶと
父さんがスマホでニュースを見ていた。
「なんだ、手伝い なんて珍しいな」
こちらをチラリと見るとまたスマホへ戻る。
そうだ 父さんに聞いてみよう
「父さん 自分磨きってどうやるの」
「なんだ、風呂にでも入るのか」
斜め上だ、違うよ 父さん。
「いや、そうじゃなくて····」
「何やってるんだい!料理が冷めちまうよ」
台所から お呼びがかかった。
「とりあえず 夕食が終わってから」
父さんにそう告げて 台所に戻る。
台所のキッチンテーブルの上には
野菜炒めが盛られた皿が乗っていた
「まだまだ有るからね すぐに戻っておいで」
「ハイハイ!」
そういえば 昔のある武将は下働きから始めたという話を聞いたことがある
俺もそれに倣って····
「ハイは一回!」
母さんにたしなめられる。
「判ったよ、ハイ!」
うむむむむ、こう言うところでもダメな俺だな。
「よろしい」
料理をしながら母さんが一言。
自分磨きの道は長い
夏休みまでに間に合うのかな。
終
さあ 困ったぞ
来月に入ればもう夏休みだ
暑い中の部活動に
山のような宿題
そして。
高校最後の夏休み!
彼女欲しい、彼女欲しい、彼女欲しい、彼女欲しい!
ボッチは嫌だー!
友達はいるけど全員男、これじゃあダメなんだよ。
一年生の時から、
「ま、彼女くらいその内出来るだろ」と、自分磨きを怠った結果がこれだ····
勉強と部活に忙しかったって言う理由もあるけどね、ダラダラと 流されるままに と言うところが無きにしもあらず。
これじゃあダメなんだよ。
できる男は勉強と部活に真っ正面から向き合って
汗を流して真面目に努力しているんだ。
それを遠くで見つめる女子が
「ステキ!」と、惚れ込んで
徐々に互いの距離が近くなり
どちらともなく告白へ。
くう〜っ、俺が入学した時は 誰もこんなこと教えてくれなかったぞ。
もしかして俺をライバル視するヤツの仕業か?
争う 相手が少なくなれば、それだけ自分が有利になる
なんて小賢しい 真似を!
いやいや、ちょっと待て。
そもそも 俺のライバルって誰だろう
うーん、思いつくヤツはいない。
そう言うことは あれか? 自分自身がライバルってやつ
それならば納得はいく。
そして、
なぜ今まで自分磨きを怠ったのかと言うところに戻る。
「うわあ~!」
「あんた! うるさいよ、何いきなり 騒いでるんだい」
母さんからの抗議の声が聞こえた。
「な、何でもないよ」
なんかハズいぞ。
「何でもないんだったら夕飯の手伝いでもしておくれ」
面倒だなあ
いや、待てよ
これも自分磨きの一環なのではないだろうか?
料理上手の男性、コレはイケるぞ。
「判ったよ、すぐに行く」
ベッドから起き上がり、鏡の前で 身だしなみを整える。
さ、いっちょやったるか!
意気込んで台所に着くと、母さんからの指示
「料理を皿に盛るから、それを居間へ持って行っておくれ」
「それだけ? 料理は作らなくていいの?」
いきなり ヤル気を削がれた。
「あんた何か作れるのかい」
母さんが聞いてくる。
「特に作れないけど今から少しずつ覚えていけばさ」
そう、自分磨きは始まったばかりだ。
「それだったら、そこに本があるから 自分で勉強しておくれ」
母さんが指さす先には料理の本が何冊かあった。
ここでも勉強なのか。
「ほら 出来上がったよ、早く持って行って」
皿の上には 麻婆茄子が。
「それが終わったらすぐに戻ってくるんだよ、次があるからね」
母さんは気合が入っている。
まぁ、いきなり料理は ハードルが高かったか
まずは出来るところからコツコツとやろう。
麻婆茄子の皿を取り、居間へ運ぶと
父さんがスマホでニュースを見ていた。
「なんだ、手伝い なんて珍しいな」
こちらをチラリと見るとまたスマホへ戻る。
そうだ 父さんに聞いてみよう
「父さん 自分磨きってどうやるの」
「なんだ、風呂にでも入るのか」
斜め上だ、違うよ 父さん。
「いや、そうじゃなくて····」
「何やってるんだい!料理が冷めちまうよ」
台所から お呼びがかかった。
「とりあえず 夕食が終わってから」
父さんにそう告げて 台所に戻る。
台所のキッチンテーブルの上には
野菜炒めが盛られた皿が乗っていた
「まだまだ有るからね すぐに戻っておいで」
「ハイハイ!」
そういえば 昔のある武将は下働きから始めたという話を聞いたことがある
俺もそれに倣って····
「ハイは一回!」
母さんにたしなめられる。
「判ったよ、ハイ!」
うむむむむ、こう言うところでもダメな俺だな。
「よろしい」
料理をしながら母さんが一言。
自分磨きの道は長い
夏休みまでに間に合うのかな。
終