日々の僕たち

 帰りのホームルームが終わると
 教室は開放感に包まれる。

 まぁ、学校にいる以上は色々な校則に従わないとダメなんだけどね
 そういう話は聞きたくないかな。

 私も話したくはない。
 
 別に開放感を台無しにしたい訳ではなく
 私は、もうしばらく学校にいなければならないからね。

 数人の知り合いに別れを告げると 教室を出る
 行く先は 屋上
 高いフェンスに囲まれているから
 開放感という点でケチがつくけど
 天井がないので 青い空が見える。

 屋上に着くと 備え付けのベンチに腰掛ける
 青空を見上げると
 なぜか泣きたくなるけど
 ここはぐっと我慢。

 だって、泣いたりしたら恥ずかしいでしょ?

 そんな感慨に十分ほど浸って気持ちを切り替えると
 最終的な目的地、図書館へと向かう
 私の通う学校の図書館は
 その大きさと蔵書数の多さで 県内一 の規模を誇る。

 私がこの学校を選んだ理由は、そこなのです。

 

 今日はどんな本を読もうか
 図書館への道すがら、考えるのは本のことばかり
 本の虫の私にとっては至福の時間です
 こんな状態で、もし運命の一冊に出会ったらショックで死んでしまうかも
 ····
 少し大げさでしたね。

 そんなこんなで 図書館に到着
 地上三階建ての建物は、いつ見上げても立派の一言につきます
 もちろん バリアフリー対策もバッチリ! 入り口なんて自動ドアですよ
 館内には エレベーター もついています
 さらに 点字、音声図書のコーナー もあります。

 もう、はやる気持ちを抑えきれません 早速中に入ります。

 館内には 受付が四ヶ所
 学生用と一般向け
 そして本の貸し出しと返却。

 一般向け と言うのは、県内に住む方々用の受付
 そうです、この学校の図書館は一般にも開放されているのですよ
 何かと物騒な昨今
 珍しいことだそうです。

 その代わり厳つい警備員さんが常駐していますけどね〜
 いえいえ、毎日ご苦労様です。

 私は学生用の受付へ。

 図書館の運営は図書委員会が行っている
 今日の担当は一年生、あまり見かけない顔。少し緊張気味だね
 私は笑顔で「よろしくお願いします」
 ICカードを読み取り機にかざす
 「ピッ!」

 その音を聞くと一年生は、少し ぎこちなく「ごゆっくりどうぞ」

 私は軽く会釈をしてその場を離れる
 初々しいね〜
 私が初めて この図書館を利用した時のことを思い出すよ。

 さてと。

 今日はどんな本を読もうかな?

 

57/127ページ
スキ