日々の僕たち
昇降口から教室までの間
廊下を歩く僕は何人かのクラスメイトとすれ違ったが
誰も声をかける事はなかった
僕も声をかけなかったから
当たり前だけどね。
もとより友達は少ない方だし
クラスでも目立つ存在ではない
それに
ここのところ流行病に罹って十日ほど学校を休んでいた。
家にいる間も友達からの連絡は来なかったし。まぁ、僕も連絡はしなかったけどね
昨日担任に明日から学校へ行く旨を伝えても「そうか、わかった」で、おしまい。
あの様子だと今日から僕が登校することをクラスメイトに伝えていないな
僕は完全ではないにしろクラスの皆んなから忘れられたかも知れない
その忘れられた僕がどんな顔をして教室に入ればいいのか
そも、いつもはどんな顔をして教室へ入っていたんだろう?
改めて考えると判らない。
他人からすれば下らないことかもしれないけど、あぁもうすぐ教室に着く
今日はこのまま家に帰ってしまおうか
でも帰る理由はなんだろう。
「クラスに馴染む自信がない」
いや、正確にはクラスの皆んなにどんな風に見られるのか怖い
僕は心のどこかで皆んなから心配されていることを期待している
でも過去の僕の行いからすると
数少ない友人ですら心配してくれているかどうか怪しいものだ。
ならば。
黙って教室に入り席に着く
そして朝のホームルームが始まるのを待つ
それしかないな。
教室に着いた
出入り口は開いている。
その時誰かの談笑が聞こえた
身体がビクッと震える
大丈夫だ僕のことじゃない
教室に入り僕の席を見ると、何人かのクラスメイトが集まって話をしていた
彼らとはほとんど話したことがない。
何だってこんな日に限って。
少しの間教室の前の方で立っていると
クラス委員長が近づいてきた
「おはよう久しぶりだな、どうしたんだ?」どう返せばいいんだろう? とりあえず挨拶かな
「おはようございます」
少し強張った挨拶だったけど何とか。
「敬語はやめろよ、あいつらか? 仕方がない奴らだな」
そう言うとクラス委員長は彼らの元へと歩いて行った
「そこはあいつの席だ、空けてくれないか?」リーダー格の生徒へ訴える
「ホームルームが始まるまで、まだ時間があるぜ? 別にいいじゃないか」
「そういう問題じゃないだろ」
「じゃあどういう問題なんだよ」
「あいつは病み上がりだ、少しは労ってやってくれ」
僕が休んでいた事情を知っている
担任から聞いたのかな?
「俺たちには関係ないだろう」
リーダー格の一言。
そう、彼らには僕のことなんて関係ないんだ。
その時ホームルームの始まりを知らせるチャイムが鳴った。
僕の席にいた彼らは黙って自分達の席へと移っていった。
クラス委員長が僕を手招きしている
しかし今の一件で僕は注目を集めてしまった
「あいつ生きてたんだ」
誰かが放った一言に胸がドキッと脈打った
足が震えて歩けない。
担任が教室に入ってきて僕に気がついた「そんなところで何してるんだ? 早く席につけ」その言葉に後押しをされ少し早めに歩いて席に着いた。
自分の居場所があると言うのはいいことだ、それだけで気持ちが落ち着く
ただ一つあいつが座っていたので椅子が少し温かいことが気になるけど。
終
廊下を歩く僕は何人かのクラスメイトとすれ違ったが
誰も声をかける事はなかった
僕も声をかけなかったから
当たり前だけどね。
もとより友達は少ない方だし
クラスでも目立つ存在ではない
それに
ここのところ流行病に罹って十日ほど学校を休んでいた。
家にいる間も友達からの連絡は来なかったし。まぁ、僕も連絡はしなかったけどね
昨日担任に明日から学校へ行く旨を伝えても「そうか、わかった」で、おしまい。
あの様子だと今日から僕が登校することをクラスメイトに伝えていないな
僕は完全ではないにしろクラスの皆んなから忘れられたかも知れない
その忘れられた僕がどんな顔をして教室に入ればいいのか
そも、いつもはどんな顔をして教室へ入っていたんだろう?
改めて考えると判らない。
他人からすれば下らないことかもしれないけど、あぁもうすぐ教室に着く
今日はこのまま家に帰ってしまおうか
でも帰る理由はなんだろう。
「クラスに馴染む自信がない」
いや、正確にはクラスの皆んなにどんな風に見られるのか怖い
僕は心のどこかで皆んなから心配されていることを期待している
でも過去の僕の行いからすると
数少ない友人ですら心配してくれているかどうか怪しいものだ。
ならば。
黙って教室に入り席に着く
そして朝のホームルームが始まるのを待つ
それしかないな。
教室に着いた
出入り口は開いている。
その時誰かの談笑が聞こえた
身体がビクッと震える
大丈夫だ僕のことじゃない
教室に入り僕の席を見ると、何人かのクラスメイトが集まって話をしていた
彼らとはほとんど話したことがない。
何だってこんな日に限って。
少しの間教室の前の方で立っていると
クラス委員長が近づいてきた
「おはよう久しぶりだな、どうしたんだ?」どう返せばいいんだろう? とりあえず挨拶かな
「おはようございます」
少し強張った挨拶だったけど何とか。
「敬語はやめろよ、あいつらか? 仕方がない奴らだな」
そう言うとクラス委員長は彼らの元へと歩いて行った
「そこはあいつの席だ、空けてくれないか?」リーダー格の生徒へ訴える
「ホームルームが始まるまで、まだ時間があるぜ? 別にいいじゃないか」
「そういう問題じゃないだろ」
「じゃあどういう問題なんだよ」
「あいつは病み上がりだ、少しは労ってやってくれ」
僕が休んでいた事情を知っている
担任から聞いたのかな?
「俺たちには関係ないだろう」
リーダー格の一言。
そう、彼らには僕のことなんて関係ないんだ。
その時ホームルームの始まりを知らせるチャイムが鳴った。
僕の席にいた彼らは黙って自分達の席へと移っていった。
クラス委員長が僕を手招きしている
しかし今の一件で僕は注目を集めてしまった
「あいつ生きてたんだ」
誰かが放った一言に胸がドキッと脈打った
足が震えて歩けない。
担任が教室に入ってきて僕に気がついた「そんなところで何してるんだ? 早く席につけ」その言葉に後押しをされ少し早めに歩いて席に着いた。
自分の居場所があると言うのはいいことだ、それだけで気持ちが落ち着く
ただ一つあいつが座っていたので椅子が少し温かいことが気になるけど。
終