日々の僕たち
「うーっ、寒っ」
あいつらいつまで俺を待たせるんだよ? それに児童公園のジャングルジムのてっぺんで、パーカーのフードかぶって両手をポケットに突っ込んでるって何かの不審者みたいだ
そのうち警官が来たりしてな。
おっ? 言ってるそばからパトカーがやって来たぞ
どうする? 逃げるか
でもそんな事したら本当の不審者として職務質問確定だ
ここはじっとしていよう。
パトカーは公園のそばを走り抜けていった。
「ふーっ。さすがに一人だと緊張感も半端ないな」
それにしても遅い! 二人とも何をやってるんだか
いや、待てよ? 俺が時間を間違えてる可能性は······
無いな! 俺は待ち時間に正確な男だぞ、五分前到着。常識だろう
ポケットからスマホを取り出し時間を確認
約束の時間から三十二分経っている
「えっ?」
まだそんなもんなのか、とっくに一時間は経っているのかと思ってた
でも遅刻には変わり無い
やって来たらどうしてくれようか?
コンビニの中華まんでも奢ってもらうか。
そうこうして居る内に一人がやって来た
「遅いぞ!」
「悪い悪い! お袋に買い物頼まれちまってさー」
顔を見ると額に薄っすらと汗をかいて居る
あながち嘘でも無いようだ。
残るは一人
さて、どんな言い訳が飛び出すかな
「おっ! 来たぞ」
「何かコンビニへ入って行ったけど?」
またアイスでも買ってるのかな、この寒さで? うーん。
しばらくすると袋を抱えて出てきた
こちらへ向かって走ってくる。
「そんなに急がなくてもいいって!」
「慌ててコケるなよ!」
「おーい! 遅れてごめんね」
やっと三人揃ったか。
三人でジャングルジムのてっぺんを陣取る
もう日が暮れかけているが少しぐらい帰りが遅くなってもいいだろう。
「今年も後二ヶ月で終わりだな」
「まぁな、でもどうしたんだよ急に」
「そうだ、これ」
ガサゴソとコンビニの袋を開けて、こちらへ見せてくる。
「おっ! 中華まんじゃないか」
「もしかして俺たちに?」
「うん、遅刻したお詫び。それと」
急に俯き出したぞ、どうしたんだ一体?
「何かあったのか? 話してみろよ」
「そうだ、俺たちでいいなら聞くぜ」
「それがね、お母さんが二人との付き合いを止めなさいって」
相変わらず唐突だな。
「どういう事だ、順序立てて話してみろよ」
「そうだな、いきなり別れろじゃ納得いかないぜ。あ、饅頭ありがとな」
「うん。僕達来年受験生だよね? それで、あまりガラの悪い人達と付き合うと内申書に響くからってお母さんが言うんだ」
それで別れろと? 俺達そんなにガラ悪いか?
「いかにもお前のお母さんが気にしそうな事だな」
「ガラが悪いってどういう事だよ? まさか不良とか思ってるんじゃないだろうな」
「僕はそんな事思ってないよ? だからお母さんに言ったんだ二人とは別れないって」
よく言った! お前にしては上出来じゃないか。
「それにしても弱ったなぁ」
「確かにな母親の次は父親それでもダメならおそらく学校の······」
「そんな事僕がさせないよ! 二人は大切な親友だからね」
俺達だって同じだよ。何か名案はないものか? そうだ!
「三人揃って同じ大学を目指すと言うのはどうだろう? お前が狙ってる大学ってそれなりに偏差値高いんだろ」
「なるほど! その大学に俺達が合格すれば」
「できるの?」
おいおい俺たちを見くびってもらっちゃ困る。
「知っての通り俺はテストで学年十位以下に落ちた事は無い」
「俺だって一番低かったのは二十五位だぜ?」
「僕はいつも三位くらいかな」
差は開いているが大差と言うほどでは無い。今から頑張れば十分合格を狙える!
「よし帰ったら勉強だ。とりあえずの目標は次の期末テストだな」
「絶対上位十位以内に入ってやる」
「じゃあ僕はトップを目指そう!」
いや、お前は三位辺りで十分だよ
「なんだかんだで三人とも大学進学決定か」
「こうなったら徹底的にやってやる! 俺の本気を見せてやるぜ」
「なんだか嬉し涙が出てきちゃったよ」
大いなる目標ができたな。
「おいおい、泣くのはまだ早い!」
「そうだぞ肝心のお前が不合格って言う事だって有るんだからな」
「そうだね気を引き締めて行こう」
後は俺達に貼られているレッテルの問題があるけど。
「後は各人の日々の行いだな」
「それはチョット厳しいものが有るぜ」
「ボランティア活動に精を出すとか?」
ナイスアイデア!
「確か高校にボランティア活動のグループがあったよな?」
「ボランティア活動か悪くはないな」
「言い出しておいてなんだけど僕ボランティア活動ってした事ないんだよ」
おいおい!
「とにかく明日だな。俺の教室に放課後集まってくれるか?」
「問題ないぜ」
「僕も同じく」
明日からは面白い日々になりそうだ。
終
あいつらいつまで俺を待たせるんだよ? それに児童公園のジャングルジムのてっぺんで、パーカーのフードかぶって両手をポケットに突っ込んでるって何かの不審者みたいだ
そのうち警官が来たりしてな。
おっ? 言ってるそばからパトカーがやって来たぞ
どうする? 逃げるか
でもそんな事したら本当の不審者として職務質問確定だ
ここはじっとしていよう。
パトカーは公園のそばを走り抜けていった。
「ふーっ。さすがに一人だと緊張感も半端ないな」
それにしても遅い! 二人とも何をやってるんだか
いや、待てよ? 俺が時間を間違えてる可能性は······
無いな! 俺は待ち時間に正確な男だぞ、五分前到着。常識だろう
ポケットからスマホを取り出し時間を確認
約束の時間から三十二分経っている
「えっ?」
まだそんなもんなのか、とっくに一時間は経っているのかと思ってた
でも遅刻には変わり無い
やって来たらどうしてくれようか?
コンビニの中華まんでも奢ってもらうか。
そうこうして居る内に一人がやって来た
「遅いぞ!」
「悪い悪い! お袋に買い物頼まれちまってさー」
顔を見ると額に薄っすらと汗をかいて居る
あながち嘘でも無いようだ。
残るは一人
さて、どんな言い訳が飛び出すかな
「おっ! 来たぞ」
「何かコンビニへ入って行ったけど?」
またアイスでも買ってるのかな、この寒さで? うーん。
しばらくすると袋を抱えて出てきた
こちらへ向かって走ってくる。
「そんなに急がなくてもいいって!」
「慌ててコケるなよ!」
「おーい! 遅れてごめんね」
やっと三人揃ったか。
三人でジャングルジムのてっぺんを陣取る
もう日が暮れかけているが少しぐらい帰りが遅くなってもいいだろう。
「今年も後二ヶ月で終わりだな」
「まぁな、でもどうしたんだよ急に」
「そうだ、これ」
ガサゴソとコンビニの袋を開けて、こちらへ見せてくる。
「おっ! 中華まんじゃないか」
「もしかして俺たちに?」
「うん、遅刻したお詫び。それと」
急に俯き出したぞ、どうしたんだ一体?
「何かあったのか? 話してみろよ」
「そうだ、俺たちでいいなら聞くぜ」
「それがね、お母さんが二人との付き合いを止めなさいって」
相変わらず唐突だな。
「どういう事だ、順序立てて話してみろよ」
「そうだな、いきなり別れろじゃ納得いかないぜ。あ、饅頭ありがとな」
「うん。僕達来年受験生だよね? それで、あまりガラの悪い人達と付き合うと内申書に響くからってお母さんが言うんだ」
それで別れろと? 俺達そんなにガラ悪いか?
「いかにもお前のお母さんが気にしそうな事だな」
「ガラが悪いってどういう事だよ? まさか不良とか思ってるんじゃないだろうな」
「僕はそんな事思ってないよ? だからお母さんに言ったんだ二人とは別れないって」
よく言った! お前にしては上出来じゃないか。
「それにしても弱ったなぁ」
「確かにな母親の次は父親それでもダメならおそらく学校の······」
「そんな事僕がさせないよ! 二人は大切な親友だからね」
俺達だって同じだよ。何か名案はないものか? そうだ!
「三人揃って同じ大学を目指すと言うのはどうだろう? お前が狙ってる大学ってそれなりに偏差値高いんだろ」
「なるほど! その大学に俺達が合格すれば」
「できるの?」
おいおい俺たちを見くびってもらっちゃ困る。
「知っての通り俺はテストで学年十位以下に落ちた事は無い」
「俺だって一番低かったのは二十五位だぜ?」
「僕はいつも三位くらいかな」
差は開いているが大差と言うほどでは無い。今から頑張れば十分合格を狙える!
「よし帰ったら勉強だ。とりあえずの目標は次の期末テストだな」
「絶対上位十位以内に入ってやる」
「じゃあ僕はトップを目指そう!」
いや、お前は三位辺りで十分だよ
「なんだかんだで三人とも大学進学決定か」
「こうなったら徹底的にやってやる! 俺の本気を見せてやるぜ」
「なんだか嬉し涙が出てきちゃったよ」
大いなる目標ができたな。
「おいおい、泣くのはまだ早い!」
「そうだぞ肝心のお前が不合格って言う事だって有るんだからな」
「そうだね気を引き締めて行こう」
後は俺達に貼られているレッテルの問題があるけど。
「後は各人の日々の行いだな」
「それはチョット厳しいものが有るぜ」
「ボランティア活動に精を出すとか?」
ナイスアイデア!
「確か高校にボランティア活動のグループがあったよな?」
「ボランティア活動か悪くはないな」
「言い出しておいてなんだけど僕ボランティア活動ってした事ないんだよ」
おいおい!
「とにかく明日だな。俺の教室に放課後集まってくれるか?」
「問題ないぜ」
「僕も同じく」
明日からは面白い日々になりそうだ。
終