日々の僕たち

 カリカリカリカリ……

 静かな部屋に、シャーペンがノートの上を滑る音が響く。

 只今夏休みの宿題を片付けている最中
 宿題の多くはPCで終わらせてしまったが、書き取りはそういう訳にもいかない
 ひたすら手を動かす。

 ああ、そういえば美術の絵画と造形の宿題もあったっけ
 絵画はPCで描いてプリントアウトしてもいいと言ってたけど、造形はどうするかな? プラモデルでもよければ、すぐにでも出来るんだけどな。後で先生に聞いてみよう。

 それにしても疲れたぞ
 シャーペンを置き、肩をグルグルと回し手をブルブルと振る
 「つあ〜あっと」
 大きく背伸びをすると少しは気が楽になった
 デスクの隅に置いてある麦茶のペットボトルを手に取り
 ゴクゴクと喉を潤す「ぷはぁ~」
 一息つくと何かヤル気が無くなってきた。

 休息も必要だけどさ〜書き取りもう少しで終わりなんだよね
 今日中に終わらせて、明日は美術の宿題にするかな? なんだか結局のところ毎日勉強しているような気がする。

 ヴヴヴヴヴ! スマホか、なんだろう
 ポチ! SNSに着信。なんだアイツか一体何の用だろう「今暇か?これから遊びに行こうぜ(^-^)/」
 またか
 アイツは一体いつ宿題をヤッているのだろうか? いつも誘ってくれるのはありがたいが謎が残るな
 「今宿題の追い込み中悪いなまた今度誘ってくれ」あえて宿題を入れてみた。何か手掛かりが得られるかもしれない
 んじゃ、返信ポチッと。

 スマホの画面をじっと見つめる。

 おっ、来たぞ
 どれどれ?
 「宿題なんか誰かのコピーさせて貰えばいいだけじゃん何オマエ真面目にやってんの笑」おいおい、そいつは一体誰だ
 まさかとは思うが
 「一体誰がコピーさせてくれるんだ?」ポチッ
 俺は何をやっているんだろう
 来た
 「オマエとか笑冗談だからな冗談でも困った時は助けてくれよ!」やはり!
 アイツを助ける義理は……有るか。

 仮にも俺の親友だ。

 仕方がない「少しなら何とかなるけど、あまり期待はしないでくれ」
 ポチッ
 結局こうなるのか
 むっ?
 「サンキューそれじゃあ宿題頑張ってくれ!これから花火を見に行く」
 そういえば今日は花火大会の日だ
 外はまだ明るいが時計を見ると午後5時半
 花火は確か夜の8時からだったっけ?
 実は俺の部屋の窓から見えるんだよね
 少し遠いけどさ。

 うちの家族は見に行くのだろうか?
 今のところそれらしい動きはないから地元のテレビ局の中継でも見るんだろう
 俺はエアコンの効いた部屋で花火を見る、これも悪くないかな。

 少し遠いけど。

 そうと決まれば早く書き取りを終わらせる!
 ふとアイツの顔が頭をよぎる
 だめだ雑念は捨てろ
 頭を振ると、少し気分がスッキリした
 よし、宿題を再開しよう。


 
 
 
 

 
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