日々の僕たち
「やっぱり行くんだ?」
親友が少々意地悪く言った
今行かずにいつ行くというのだ。
「ああ!」力強く答える
「お前はどうするんだ?」
親友に聞き返した
「僕が行ってもいいのかな?」
親友を蔑ろにする訳にはいかない
しかしちょっと困った答えだな
俺はどう返せばいいんだろう。
しばらく考え込んでいると、親友は言った
「僕が行っても邪魔になるだけだと思うよ? それに今は欲しい物ないし」
邪魔になるとは思わないが、よく考えれば一人の方がいいのかもしれない。
「判った俺一人で行ってくるよ」
「行ってらっしゃい、お留守番は任せてね」
おいおい! 一体どこの留守番だよ。
「ここは俺の家だぞ」
「ハハハ、バレたか」
相変わらずおちゃらけたやつだが、俺の出来ない事を難なくこなすし、軽口はその場を和ませてはくれる
こいつが親友でよかったよ。
「それじゃあ僕は帰るよ、何かあったらメッセージ送ってね」親友は自分の家の方へ歩き出した
その後ろ姿に向かって「ありがとな! また明日学校で」
すると親友はこちらを振り返りピッと敬礼をした
まったく、俺も敬礼で返した。
親友は立ち去った
さて、これからが本番だな。
今日はいつもお世話になっている模型屋の店長にお礼をするべく、バイトして貯めたお金を下ろしてきた
この間の模型の事もあるし、店の模型をたくさん買って少しは売上に貢献しようというわけさ。
ただ、これで店長が喜ぶかどうかは微妙なところ
少し捻くれたところがあるからな〜
しかし今の俺にはこれぐらいしか思いつかない
当たって砕けろだ!
「よっし!」気合を入れて店へ向かって歩き出す
欲しい模型は色々あるが今日は迷う必要はない
なにしろ今の俺には金があるからな!
しかし、大金を持っているからか? 少し気が大きくなっている自分に気がついた
これじゃあただの恥ずかしいやつだ
これから店長との真剣勝負があるというのに!
そうこう考えているうちに店に着いた
急いでいる時は遠いのに、なんでもない時はすぐに着く不思議。
外から店の様子をちょっと伺ってみた
店長以外に客はいないようだ
ちょうどいいタイミングだな、それでは突撃!
自動ドアが開き中に入ると相変わらず涼しい
「こんにちは〜!」
元気よく挨拶をするとすぐに店長が気づいた
「なんだ? また冷やかしに来たのか!」
いきなりキツイ一言でもいつもの事だ
「相棒はどうした? 今日は一人か」
「はい、今日は一人です」
店長は俺の目を見て言った
「珍しい事もあるもんだ。で、今日は何を企んでる?」
ひどい言われようだな一応客なんだけど
まぁ、いい
「今日はこの間のお礼に来ました」
すると
「礼には及ばないよ今日はもう帰りな」
いきなり門前払いか、しかしここで引き下がる訳には行かない
「そういう訳には行きません」
店長は俺の財布が入ったズボンのポケットを見て「バカな真似はするもんじゃない、その金で親御さんに旨い物でも食わせてやんな」
やはり見透かされていたか。
しばし睨み合い。
しかし店長の迫力に気押されて
「どうもすみませんでした!」
思わず謝ってしまった。
「おいおい、お前さんは何も悪い事はしちゃいないよ」
「でもまだ子供のくせに生意気な事を」
店長は少し穏やかな声で言った
「俺が捻くれた大人に老成しちまった只それだけの事だ」
店長の意外な一面。
「店長」
「なんだ?」
「また来てもいいですか?」
「ハッハッハ!」店長大いに笑う。
そして
「常連のお前さんが俺の店以外のどこに行くって言うんだよ?」
「また来いよ! 今度は相棒も連れてな!」
「ありがとうございます!」
俺は頭を下げて店を出た
店長はガラス越しに俺を見てニヤニヤしている
こういうところは相変わらずだ。
「旨い物か・・・」
考えてみれば俺は両親の好物を知らない
ちょうど商店街にいるんだ、母にSNSで聞いて何か買って帰ろう。
終
親友が少々意地悪く言った
今行かずにいつ行くというのだ。
「ああ!」力強く答える
「お前はどうするんだ?」
親友に聞き返した
「僕が行ってもいいのかな?」
親友を蔑ろにする訳にはいかない
しかしちょっと困った答えだな
俺はどう返せばいいんだろう。
しばらく考え込んでいると、親友は言った
「僕が行っても邪魔になるだけだと思うよ? それに今は欲しい物ないし」
邪魔になるとは思わないが、よく考えれば一人の方がいいのかもしれない。
「判った俺一人で行ってくるよ」
「行ってらっしゃい、お留守番は任せてね」
おいおい! 一体どこの留守番だよ。
「ここは俺の家だぞ」
「ハハハ、バレたか」
相変わらずおちゃらけたやつだが、俺の出来ない事を難なくこなすし、軽口はその場を和ませてはくれる
こいつが親友でよかったよ。
「それじゃあ僕は帰るよ、何かあったらメッセージ送ってね」親友は自分の家の方へ歩き出した
その後ろ姿に向かって「ありがとな! また明日学校で」
すると親友はこちらを振り返りピッと敬礼をした
まったく、俺も敬礼で返した。
親友は立ち去った
さて、これからが本番だな。
今日はいつもお世話になっている模型屋の店長にお礼をするべく、バイトして貯めたお金を下ろしてきた
この間の模型の事もあるし、店の模型をたくさん買って少しは売上に貢献しようというわけさ。
ただ、これで店長が喜ぶかどうかは微妙なところ
少し捻くれたところがあるからな〜
しかし今の俺にはこれぐらいしか思いつかない
当たって砕けろだ!
「よっし!」気合を入れて店へ向かって歩き出す
欲しい模型は色々あるが今日は迷う必要はない
なにしろ今の俺には金があるからな!
しかし、大金を持っているからか? 少し気が大きくなっている自分に気がついた
これじゃあただの恥ずかしいやつだ
これから店長との真剣勝負があるというのに!
そうこう考えているうちに店に着いた
急いでいる時は遠いのに、なんでもない時はすぐに着く不思議。
外から店の様子をちょっと伺ってみた
店長以外に客はいないようだ
ちょうどいいタイミングだな、それでは突撃!
自動ドアが開き中に入ると相変わらず涼しい
「こんにちは〜!」
元気よく挨拶をするとすぐに店長が気づいた
「なんだ? また冷やかしに来たのか!」
いきなりキツイ一言でもいつもの事だ
「相棒はどうした? 今日は一人か」
「はい、今日は一人です」
店長は俺の目を見て言った
「珍しい事もあるもんだ。で、今日は何を企んでる?」
ひどい言われようだな一応客なんだけど
まぁ、いい
「今日はこの間のお礼に来ました」
すると
「礼には及ばないよ今日はもう帰りな」
いきなり門前払いか、しかしここで引き下がる訳には行かない
「そういう訳には行きません」
店長は俺の財布が入ったズボンのポケットを見て「バカな真似はするもんじゃない、その金で親御さんに旨い物でも食わせてやんな」
やはり見透かされていたか。
しばし睨み合い。
しかし店長の迫力に気押されて
「どうもすみませんでした!」
思わず謝ってしまった。
「おいおい、お前さんは何も悪い事はしちゃいないよ」
「でもまだ子供のくせに生意気な事を」
店長は少し穏やかな声で言った
「俺が捻くれた大人に老成しちまった只それだけの事だ」
店長の意外な一面。
「店長」
「なんだ?」
「また来てもいいですか?」
「ハッハッハ!」店長大いに笑う。
そして
「常連のお前さんが俺の店以外のどこに行くって言うんだよ?」
「また来いよ! 今度は相棒も連れてな!」
「ありがとうございます!」
俺は頭を下げて店を出た
店長はガラス越しに俺を見てニヤニヤしている
こういうところは相変わらずだ。
「旨い物か・・・」
考えてみれば俺は両親の好物を知らない
ちょうど商店街にいるんだ、母にSNSで聞いて何か買って帰ろう。
終