日々の僕たち

 その気になれば俺だって!
 今は本気出してない、それだけの事さ
 『いつになったらヤル気を出すんだ?』
 いつかは出す!今はまだ時じゃない
 こういうのはタイミングが重要なんだよ

 「よお、お前この間のテストどうだった?」
 相変わらず馴れ々しいな、聞かなくても判ってるくせに
 安心しろ、お前より悪かったよ。とでも言えばいいのか

 「人が聞いてんだろ、なんとか言えよ!」

 「なんとか?」

 パチン!平手が思いっきり飛んできた
 痛てーな口の中切れたぞ、おい!
 血の味が口いっぱいに広がる

 ガタン!
 勢いよく席を立ち相手を睨みつけた

 「お前たち何してるんだよ!」
 クラス委員長がやって来た
 柔道部の期待のエースお出ましか
 さてアンタに大岡裁きができるかな?

 「俺は悪くないぞ、コイツが!」

 「コイツとはずいぶんな言い草だな?」

 「大丈夫か?頬が腫れてるぞ」

 ウソ、マジで?
 「口の中も切れてるんだけど」
 血に染まった舌を出す

 「そんな物見せなくても誰も疑いやしないよ」
 
 それはどうも失礼しました····

 その間、形勢不利と見たアイツはこの場を立ち去ろうとしていた。クラス委員長はアイツの肩をがっしり掴み「お前には聞きたい事がある 逃げるなよ?」貫禄のある声で 引き止めた

 保健委員がやってきて
 「保健室に連れて行きます、いいですね?」
 俺の腕を掴み 教室の外へ連れ出してくれた

 「どうして君はトラブルばかり起こすのよ」
 保健室へ行く道すがら、そんな事を聞かれた

 俺はポケットティッシュで口を押さえながら
 「それはな、俺がトラブルに好かれちまってるからだよ」決まったかな?

 無反応か、そいつはないぜ

 保健室に着くと
 「ちゃんと手当してもらうのよ?」
 そう言って俺をじっと見つめる

 俺も見つめ返す

 「何をしてるのよ、保健室に入るのを見届けてるだけじゃない」

 ちぇっ、つまんないな

 「このまま授業をサボろうなんて考えないでね」

 ちぇっ、俺って信用ないな

 仕方がない 保健室の扉をノックする
 
 「どうぞー」

 中からは 保健の先生の声が聞こえてきた

 遠慮なく 扉を開けて中に入る

 「それじゃあ私教室へ戻るから」
 ん、あぁ
 「ありがとう」
 お礼と一緒に熱い視線を送ってみた
 「どういたしまして」
 そっぽを向かれた

 ちぇ〜っ少しくらいはさ、ねぇ。
 




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