日々の僕たち


 俺はいつも親友を昇降口で待っていた
 帰る方向が同じというのもあるけどさ
 唯一無二の親友だ、この関係は大切にしたかった

 あいつは性格にちょっと問題があるけどね
 「世界は俺を軸にして回っている」
 今時 こんなこと考えてるやついるか?
 そも、考えるだけならまだいい
 親友はそれを行動に移している

 さらに ワガママときた

 家が裕福で甘やかされて育って来たからか?
 頭を押さえつけられるのを嫌い、いつも自由に振る舞っている
 部活動の時顧問の先生に その辺りを注意されたら、「そこまで言うんだったら 個人競技に移してくれ」

 おい!

 先生はお前のためを思ってこそ 注意しているんだぞ!しかも 年上の方に対してタメ口ってどういうことだよ?

 社会に出てしまえばそれも許されるかもしれないけど ここは学校の中、俺たちはまだガキだ先生から教えを受けている立場だぞ!

 さすがにこの時ばかりは俺も我慢ができず
 「先生に今すぐ非礼を謝れ!」つい口に出してしまった。親友がさ、そんな言うことを聞く 訳ないの判ってるんだけどね

 親友から出てきたのは
 「お前らとはもうここまでだ、付き合ってらんねえよ!」その日のうちに部活を辞めて、俺とも絶縁····

 


 そんなやつを何で親友と呼び、帰りを待っているのか

 俺にも判らないが、あいつを一人にすると六な事になら無いと思う。まぁはっきり言って自分で決めた道なんだから俺には関係ないけどさ

 だからと言って見捨てたら不義理だとは思わないか?あいつは社交術に長けていて、部活動での一件以来 早くも 新しいコミュニティを作って、俺のことなんか相手にしないんだけどさ

 俺だって ただ未練がましく すり寄ってる訳じゃない

 あいつ たまに1人で帰る時があるんだ
 そんな時は大抵 揉め事が起きた後
 あいつの性格だから謝りもしないし
 そうなると当然問題も解決しないまま

 仲間の不満が澱のように 積み重なっていく
 人間関係の深い深いところでさ

 限界に達したら、世間知らずで寂しがり屋のあいつが仲間にいいように使われるのは目に見えている

 そうなったらもうおしまいだ

 そうならないために俺がいると思っていた

 そう 昨日まではね

 俺もいい加減 疲れたんだよ、だから もし今日あいつと出会ったらサヨナラを言うつもりだ。





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