日々の僕たち


「はいはい、判ったよ」

 夏休みに入ってから、両親が勉強をしろ!とうるさい。

 ま、俺も花の受験生だしさ〜自分の将来について考えるのも悪くはない。悪くはね。

ただ、それが勉強する事で解決してしまうと考える両親がさ。何て言うか〜自分たちが貧しくて勉強でき無かったから、俺に同じ苦労はさせまいと言う所がね。

 はっきり言って余計なお世話。

 俺は多少苦労したりとか、学が無いと周りからバカにされても構わないよ?俺自身が望む生き方をしていれば、そんな事は関係ないだろう!なぁ?

 両親は苦労が過ぎて、その辺り判ってくれないんだよな〜。ある意味可哀そうっちゃ可哀そう。

 

 夕食後。布団の上に大の字の字になって、そんな事を考える。

 俺はまだ若い。だから、もしかしたら甘ったれた事を考えてるのかも知れない。

 でも誤ってると判った道を歩んで後悔はしたくない。両親を安心させる方法は勉強以外にもあるはずだ。

 「それが判れば苦労無しか」

 そう言えば両親の将来の夢って何だったんだろう?考えてみれば俺は両親について知らない事が多すぎる。

 ちょっと伯父さんに聞いてみるか。

 そろそろ仕事が終わった時間だろう、お疲れのところ悪いけどね。

 SNSをちょちょいのちょいと
 『お疲れ様です。いきなりですけど父と母の将来の夢って何だったか判りますか?』
 ポチッと送信。

 待つことしばし。

 おっ、返信が来たぞ
 『本当にいきなりだな、一体何があったんだ?』
 さて、どのように答えたものか····
 『最近 2人とも勉強しろってうるさいんですよ。だから 将来は学者にでも成たかったのかなってね』
 すると
 『弟が学者に?そいつは傑作だな、あいつ勉強が大の苦手でさ。おっと、俺が教えたって言うなよ?』
 なるほど
 『判りました秘密にしておきます。それじゃあ父は何に成たかったんですか?』
 すぐに返信が来た
 『弟はアイドルの追っかけをやっててさ、夢はそのアイドルと結婚する事だった』
 あの堅物のお父さんが?意外だな
 『衝撃の事実ですね!』
 少し大げさに返してみる
 『だろ?でも、そのアイドルが一般人と結婚しちゃってな。弟はショックで3日ほど寝込んだんだぜ』
 なんと!
 『相手が同じアイドルならともかく、一般人はきついですよね』
 だんだん興が乗ってきた
 『それでさ、その時に弟を看病したのが幼なじみだった今の嫁さんだ』
 そんな馴れ初めがあったのか
 『判りました今日はありがとうございます』
 いい所だけど伯父さんだって疲れてる。話を切り上げないと
 『ま、若い時には色々あるって事だよ。それじゃまたな』

 思いがけず、衝撃の事実を知ってしまった。
 
 伯父さんには悪いけど問題解決の鍵にはならないかな。

 仕方がない 明日の夕食後にでも両親と腹を割って話し合おう。

 「ふわぁ〜あ」

 歯でも磨いて今日はもう寝るか。







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