日々の僕たち

 真夜中の歩道橋。

 手すりの上に腰掛けて夜空を見上げる。

 今夜もそれなりに綺麗な星空だ。

 そんなことよりも、バランスを崩せば 背中から車道に落ちて 一巻の終わり。

 そんなスリリングな状況が私を興奮させる。

 どんなエナジードリンクを飲んだ時よりも最高の気分だ、いっその事わざと落ちて人生 お終いにしてしまおうか?

 この身体を支えている両腕を手すり から離せば····

 なんてね。

 いつ死んでもいい その覚悟はできている
 でもそれは今じゃない
 第一、予備校の帰りに手を滑らせて 歩道橋から落ちて死んだなんて。

 クラスの皆のいい 笑い者だわ。

 もっとも笑ってくれる友達なんていないけどね。

 明日の朝 先生から訃報が伝えられて
 私の机の上に花瓶に生けた花が置かれるくらい。

 考えていたら なんだか寂しくなってきた。

 今夜はもう家へ帰ろう。

 手すり から腰を下ろして 歩道橋の上に立つ
 一瞬。一瞬だけど 世界が小さく見えた
 私何のために生きてるんだろう? 私生まれてくる場所 間違えたんじゃないかな。

 でも 国外へ 思いを巡らせれば、どの国もひどい有様! 仕方がない日本人に生まれて良かった。そういう事にしておくよ。





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