日々の僕たち

 今日も暑かった!

 部活の帰り道、
 親友二人と一緒にくだらない事をダベりながら帰る。

 この時が一番楽しい!
 部活の疲れも吹き飛ぶよ!

 しかし。

 二人はこの辺りどう思っているんだろうかな?
 今日は勇気を出して聞いてみるか。

 「なあ!」

 「どうした?」
 「なんだよ?」
 開放感からか弛みきった二人の顔
 部活の時とは大違いだ。

 そんな顔を見れば大体わかる
 聞くまでもないか。

 でも話しかけてしまった
 さて、どうする?
 その時ちょうどタイミングよく空が暗くなりだした。

 「雨降りそうだな」
 こんなところでどうかな

 「降られたら困るよ〜俺傘持ってないし」
 「俺も持ってないや」

 俺は折りたたみを持っているので問題なし。
 じゃなくて、雨が降ったらこの二人をどうするか?
 さすがに俺の傘に3人は無理だ。

 雨宿りできそうな場所はないか?

 「何キョロキョロしてるんだよ? 挙動不審だ!」
 おいおい!
 「皆さん聞いてください! ここに不審者が!」
おいおいおい!

 「そうじゃなくてさ、雨宿りできそうな場所・・・」

 ポツ!
 ポツポツポツ!

 そうこうしてるうちに雨が降ってきた!

 「友よ・・・もう遅い」
 「これはずぶ濡れ確定だな」

 俺は反射的に折りたたみ傘を取り出した

 「おっ!いいもの持ってるじゃないか」
 「俺達も入れてくれ〜」

 仕方がない傘を開く。

 すると二人が突撃してきた!
 「おいおい三人は無理だよ」
 「俺に濡れろって言うのか!」
 「同じく!」
 三人でおしくらまんじゅうが始まった
 その間にも雨は本降り、
 ドドドドド! 凄まじい音を立てて激しく雨が道路を打つ!

 「ちょっと待ってよ、このままだと三人ともずぶ濡れだ!」
 「だったらお前が傘から出ればいい」
 「そうだそうだ自分だけ濡れなくて済むと思うな!」

 三人とも少し興奮気味だ
 それに気がついた俺だけでも落ち着かないと。

 「三角形に並ぼう、そうすれば濡れるところを少なくできる!」
 「本当か?」
 「?どういう事だ?」

 ちょっとパニクってる一人は放っておいて
 「それぞれ傘の柄を持って」
 「そして少しずつ中心へ、だな?」
 「そういうことか!」

 三人の心は一つになった!

 早速実行に移す
 「少し背中が濡れるけど、こんなものだろう」
 「お前にしては上出来じゃないか」
 「蒸し暑いぞ!」
 それぐらい我慢しろ! と二人でつっこむ

 傘の中で外の様子を伺う。

 土砂降りの中、走る者あり
 諦めたのか濡れながら歩く者もあり

 どうやら傘を持っているのは俺だけのようだ。

 俺たちはみんなの注目を集めている様子
 なんと言うか罪悪感あるいは無言の圧が
 しかし俺が気にすることじゃない
 傘を持って来なかった方が悪い!
 そんなふうに自分に言い聞かせる。

 「二人とも背中は大丈夫か?」
 彼らの存在を忘れていた訳ではないが一応聞いてみる
 「俺のことは気にするな」「何を見ているの? あ!」「気が付いたか同士よ」「気が付きましたとも!」「フフフフフ」「ハハハハハ!」?

 二人の視線の先を見ると、
 雨に濡れた女子たちが歩いている。

 そして彼女たちのシャツが雨に濡れて下着が透けている。

 これか〜
 二人には止めさせた方がいいか後で変な噂が立つ

 「おい、やめておけよ!」
 「なんだ興味がないのか?優等生」
 「そうだそうだ優等生!」

 そういう問題じゃないだろ?

 「俺は行くぞお前らは見てろ!」
 「勝手にしろ! 俺たちも勝手にする」
 「そうだそうだ!」

・・・

 「本当に行くぞ?」
 「ああ、かまわねーよ明日な!」
 「後でメッセージ送るよ」

 俺は傘をさして歩き出した
 後ろを振り向くと二人は相変わらず女子を見ている。

 後でどうなっても知らねえぞ。

 しばらく歩くと、
 後ろから声をかけられ呼び止められた
 同じクラスの隣の席の子だ。

 「傘に入れて」
 見ると彼女もずぶ濡れで、その・・・
 透けている。

 慌てて視線を元に戻し、
 「いいよ」
 「ありがとう」
 彼女は俺に向き合ったまま傘に入ってきた。

 視線が合う
 このままずっと、こうしているのかな?
 「あの〜」
 「雨が止むまでだから」
 それはそうだけどさ
 視線をそらせば彼女の下着へ
 なるほど
 そういうことか
 それで彼女は俺を見つめている訳だ。

 それならばと俺も彼女を見つめ返す
 すると。

 雨が止んできた
 雨雲は去り太陽の光が差し込んでくる。

 「雨止んだね?」
 「うん、ありがとう」
 そう言うと彼女は傘を出た
 そして一言
 「また明日ね」
 俺は思わず手を振りながら
 「明日な!」

 彼女は小走りで去っていった。

 明日か・・・え?
 明日いったい何があるというんだ?!





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