騙し絵。
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騙し絵。
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「撮るよ」
「了か……」
パシャリ。私が言い終わる前にカメラのシャッター音が鳴った。一緒に来ている友人、香織との呼吸はまだまだ合わないようだ。私は、撮ってもらった写真を見に、香織の方へかける。
「むー、今、絶対変な顔だった」
「意外とそうでもない」
「……そうかなあ?」
友人の言葉を信じないと言った様子で、私は撮りなおしたい旨をアイコンタクトで表現する。そして、それは無事に伝わったようで。
「並んでいる人も居ないし、もう一枚撮る?」
「撮るー!」
私は写真を撮るパネルまでの距離を態々走った。さらに、目を輝かせながら。今日、私、衣織は友人と騙し絵のイベントに来ていた。つい最近友人になったにしては会話が弾んで、一通り見て回るのも中々に時間がかかった。今は会場に入って直ぐの所にある「恋が叶う絵」の前で写真を撮ろうとしている。好きな人がいるわけでも無いのに「唯一撮影していない絵」と言うことでコンプリート欲が働いてしまった。恋愛にあまり興味を示さない香織も付き合わせてしまって申し訳ない。しかし、面倒くさがりやな彼女が「嫌」と言わなかったのは少し意外だった。
「ねえ、今思ったんだけど、これって2人で撮るのが正解じゃない?」
「私も撮るのか……まあ、みゃーことなら、うん、いいよ」
みゃーこ。私のあだ名である。これが、意外にも気に入っていた。この呼び名を耳にするたび、嬉しくてつい反応してしまう。私はウキウキとスマホをカメラを手に掲げた。私の持っているカメラは液晶部分がパカッと開くことができ、自撮りがやり易くなっている。
「あー……でも、これじゃあパネル全体が映らないね」
私は重大な欠陥に気づく。騙し絵と言うものは、想像以上に大きなキャンバスに描かれていた。普通は他の人に撮影を頼むのだろうが、生憎会場入り口直ぐのこの辺りに人は居なかった。しかし、「恋が叶う絵」は、真ん中に赤いハートの葉っぱが散らばっている木の両隣に、不自然な白い空間があるのだ。ハートがこちら側に飛び出ていて、まさに「2人で撮って下さい」と言っているようであるため、私達の行動はなんらおかしくない……と思う。
「2人入らないのなら、私はあんま写さなくていいよ」
「写さなくていいというか、写りたくないんでしょう」
香織は被写体になるのが得意では無いらしい。それでも先程、一緒に写ろうとしてくれたのは、思い出作りの為だろうか?もし、そうなのであれば、私との空間を大切にしてくれているようで、嬉しい。
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「撮るよ」
「了か……」
パシャリ。私が言い終わる前にカメラのシャッター音が鳴った。一緒に来ている友人、香織との呼吸はまだまだ合わないようだ。私は、撮ってもらった写真を見に、香織の方へかける。
「むー、今、絶対変な顔だった」
「意外とそうでもない」
「……そうかなあ?」
友人の言葉を信じないと言った様子で、私は撮りなおしたい旨をアイコンタクトで表現する。そして、それは無事に伝わったようで。
「並んでいる人も居ないし、もう一枚撮る?」
「撮るー!」
私は写真を撮るパネルまでの距離を態々走った。さらに、目を輝かせながら。今日、私、衣織は友人と騙し絵のイベントに来ていた。つい最近友人になったにしては会話が弾んで、一通り見て回るのも中々に時間がかかった。今は会場に入って直ぐの所にある「恋が叶う絵」の前で写真を撮ろうとしている。好きな人がいるわけでも無いのに「唯一撮影していない絵」と言うことでコンプリート欲が働いてしまった。恋愛にあまり興味を示さない香織も付き合わせてしまって申し訳ない。しかし、面倒くさがりやな彼女が「嫌」と言わなかったのは少し意外だった。
「ねえ、今思ったんだけど、これって2人で撮るのが正解じゃない?」
「私も撮るのか……まあ、みゃーことなら、うん、いいよ」
みゃーこ。私のあだ名である。これが、意外にも気に入っていた。この呼び名を耳にするたび、嬉しくてつい反応してしまう。私はウキウキとスマホをカメラを手に掲げた。私の持っているカメラは液晶部分がパカッと開くことができ、自撮りがやり易くなっている。
「あー……でも、これじゃあパネル全体が映らないね」
私は重大な欠陥に気づく。騙し絵と言うものは、想像以上に大きなキャンバスに描かれていた。普通は他の人に撮影を頼むのだろうが、生憎会場入り口直ぐのこの辺りに人は居なかった。しかし、「恋が叶う絵」は、真ん中に赤いハートの葉っぱが散らばっている木の両隣に、不自然な白い空間があるのだ。ハートがこちら側に飛び出ていて、まさに「2人で撮って下さい」と言っているようであるため、私達の行動はなんらおかしくない……と思う。
「2人入らないのなら、私はあんま写さなくていいよ」
「写さなくていいというか、写りたくないんでしょう」
香織は被写体になるのが得意では無いらしい。それでも先程、一緒に写ろうとしてくれたのは、思い出作りの為だろうか?もし、そうなのであれば、私との空間を大切にしてくれているようで、嬉しい。
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